手を伸ばせば (ページ13)

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りさ「そんなコト、ない。」

そんなこと、無くねーだろ。

さすがに、ここで引き下がれるほど

俺だってばかじゃない。

「なぁ、熱でもあるんじゃないか…？」

顔を覗き込んで、おでこを触ろうとして

“ バチン！ ”

思いきり叩(はた)かれる、俺の右手。

りさ「さ、触らないでッ！！」

叩かれた右手は、ジンジンと痛みが増す。

「木内……やっぱりおかしいぞ？」

りさ「なんでもないって！
　もうパパが待ってるから、行くね。」

「木内！！」

ずかずかと踏み込めない個人の事情に

大きな苛立ちを感じていると、

うしろに人の気配を感じて振り向く。

大貴「……。」

ポケットに手を突っ込んだ大ちゃんが、

無言で彼女を見つめてて。

「大ちゃんも？」

大貴「ま、怪しいけど、もう少し様子見だな。
　これと言って、証拠がない。」

俺にぴたりと身を寄せて呟く。

大貴「もし、なんかあったら
　遠慮するなよ、付き合ってやるからさ。」

って、大ちゃんは

あんまり見せない真顔で言った。

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