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ハンバーグが出来上がり、お皿に盛り付けていると玄関の方で鍵が外される音がした。だだだと足音が聞こえて、キッチンに顔を覗かせた雅貴君はにっこり笑って言った。
「やった!ハンバーグじゃん、嬉しい!」
「雅貴君、おかえりなさい」
「あ、ごめん。ただいま!おかえりのちゅー」
「兄貴、これ…俺の管轄下だからやたらと手え出すなよ」
さっと現れた広斗が雅貴君の頰を持っていた雑誌で押し退ける。私はそんな広斗をちらっと見たから、広斗が悪戯に笑って聞いてきた。
「よけーなお世話だった?」
「あ、いえ。ありがとう」
「二人ともひどい!」
口を尖らせた雅貴君が懲りずに私を抱き締めて来て、広斗の目が細まっていく。
「それ以上すんなよ、」
「わかってるって」
広斗はそう釘を刺してから、リビングへ行ってしまう。私をすぐに解放した雅貴君は、ちらっと広斗を見てからすぐに私へと視線を戻して笑う。
「雅貴君?」
「ねえ、Aさ!広斗と何かあった?アイツさ、女の子にまるで興味なかったのにA来てちょっと変わったんだよね〜」
「そ、なの?私には分かんないか」
「まあ、Aは可愛いからなあ」
「ないない。ご飯にしよう!」
私は可もなく不可もない顔だと自負しているよ。お世辞なんていらないわ、雅貴君!なんて思いながら必要な食器を出していると、流しで手を洗いながら雅貴君が言った。
「俺、手伝うね」
「あ、りがと」
さり気無い優しさが嬉しかった。
広斗は1人掛けのソファで雑誌を読んでいる様だ。そんな広斗についでに洗って搾った布巾を雅貴君は投げ付けた。広斗は睨み付ける様に振り返った。うん、人殺せるね。
「俺の髪についたら拭く意味なくね?」
「お前、風呂入ってねえの?」
「入ったけど」
“気分的に”と広斗は続けたけど、雅貴君は手をヒラヒラさせて拭いてしまえと促した。そして拭いてしまう三男坊。何だか微笑ましいな。料理の皿を持って広斗の傍へ行くと丁度拭き終わってて、そこへお皿を置いた。
「お、美味そうじゃん」
「食べてみて同じこと言って貰えたらいーけど」
「大丈夫、不味くても食う」
「何その勿体無い精神」
私がそう言うとふっと笑って雑誌をその辺へ投げた。ソファから立ち上がってキッチンへ向かう。そこでは雅貴君がせっせとご飯やらお味噌汁をよそってくれていた。それを広斗が運んでる。私もグラスやらお酒を運んだ。さあ、ご飯だ。
「「「頂きます」」」
何気ない事に救われてる。
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テトラ(プロフ) - れおなさん» 喜んで頂けて嬉しいです!これからも良かったら読んでやって下さいm(_ _)m (2016年12月11日 11時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - ホントにそうですよ!笑こんな、イケメン兄貴がいたら自慢になるし、いいことありすぎて!更新、ありがとうございます!! (2016年12月11日 8時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» うちのお兄ちゃんでもいいと言っていただけたら有難いですm(_ _)mコメントありがとうございます! (2016年12月8日 8時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - キャーーー!!雅貴ーー!!広斗もいいですけど、雅貴もいいですね! (2016年12月7日 18時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» れおなさん、お久しぶりです!期末テストお疲れ様ですm(_ _)mコメントは下さるだけで有り難いです!はい、共に買いましょう!デーブイデーを!笑 (2016年12月1日 19時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tetoratora0216 | 作成日時:2016年11月25日 18時