08. ページ13
雨宮兄弟の家に着いた。なんだかドキドキするな。コブラやヤマトの家なんて普通に入れるのにね。目の前の広斗が鍵をあけてドアを開く。
「入れよ」
「あ、お邪魔します」
ドアに向き直って鍵を掛けると、再び前を向く。余り物がゴチャゴチャ置いてない。部屋も綺麗にしている…山王の野郎共とは大違いだ。ブーツを脱いで上がると、人の気配は無いから雅貴は留守なのだろう。“座れば”と言われて一人掛けのソファに腰を下ろすと広斗が顔を覗き込んで来る。
「どうする?家賃代、身体で払うってものありだけど」
「はあっ!?」
「冗談。いちいち噛み付くな。俺なんか間に受けてたら、雅貴なんかシャレにならねえぞ」
どういう意味?と聞く前に玄関のドアが開いた。靴を脱いで私の目の前に来るまでのスピードが尋常じゃなかった。両手を顔の前で握られてぐっと顔が近付く。
「いらっしゃい、Aちゃん♡あ、ただいま!」
「お、お帰りなさい。お世話になります」
「兄貴、A引いてるけど」
「じゃあ、挨拶のキスでも♡」
ちゅ、と音がして本当に頰にキスをされたから目を見開いて瞬きを繰り返す。そのまま広斗に視線を向けると言われた。
「な、だから言ったろ?」
私、とんでもないところに来てしまったのでは?
そして、雅貴君は私を抱き締めて頬擦りしてくる。こんなあからさまなスキンシップに対する耐性なんてないわ!
「兄貴、その辺にしとけよ。夕飯、どーする?」
「いい香り、肌すべすべ♡…ん、なんか出前でよくね?」
「あ、なんか作る?」
「「作れんの?」」
失礼な兄弟め。そんな事を思いながら、一つ頷く。そんな、美味しい物は作れないけど普通の家庭料理なら…。でも材料あんのかな、この家は。
「材料あれば、ね」
「うん、ないや!」
「明日、買いに行けばいいだろ。酒はあるし」
「じゃ、今日はAの歓迎会だな」
ぱーっとやろ、と言ってくれる雅貴に思わず笑みが溢れる。こんな元宿敵?が転がり込んだのにすみません。
「で、お前どこで寝る?」
広斗に聞かれて、その言い方からすると部屋は余ってないらしい。少し考えてから言ってみた。
「じゃあ、広斗の部屋」
「へえ、覚悟しとけよ」
「何その美味しいシチュエーション!お兄ちゃんのとこでもいいよ?!」
「雅貴君のが危険そうだから」
「雅貴君、か…いいね♡」
ばっと雅貴君に抱き締められそうになって、勢い良く飛び退いたら広斗にしがみ付いてしまった。所謂、姫抱き状態。
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テトラ(プロフ) - れおなさん» 喜んで頂けて嬉しいです!これからも良かったら読んでやって下さいm(_ _)m (2016年12月11日 11時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - ホントにそうですよ!笑こんな、イケメン兄貴がいたら自慢になるし、いいことありすぎて!更新、ありがとうございます!! (2016年12月11日 8時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» うちのお兄ちゃんでもいいと言っていただけたら有難いですm(_ _)mコメントありがとうございます! (2016年12月8日 8時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - キャーーー!!雅貴ーー!!広斗もいいですけど、雅貴もいいですね! (2016年12月7日 18時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» れおなさん、お久しぶりです!期末テストお疲れ様ですm(_ _)mコメントは下さるだけで有り難いです!はい、共に買いましょう!デーブイデーを!笑 (2016年12月1日 19時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tetoratora0216 | 作成日時:2016年11月25日 18時