07. ページ12
「琥珀、居なくなったのか」
「そう、奔放な兄貴で参るわ」
そう言って笑って見せたAは何処か寂し気だった。柄にも無く、綺麗だと思ってしまう程に。言うつもりのなかった言葉さえ溢した。
「何処も同じだな。俺も、行方不明なんだ…兄貴」
「そ、なの…龍也が言ってた、尊龍さんかな」
「よく知ってんな。そう、俺の…血の繋がらない兄貴」
その時のAの表情、なんとも言えねえ顔してやんの。そんなに驚くとこかね、まあ…俺もお前の境遇には驚いたけどな。
「雅貴、は？」
「血？繋がってねえよ」
気にすんな、そんな思いを込めてAの頭に手をやった。そして、小さく言ったんだ。
「見つかるといいね、尊龍さん」
「お前もな、」
身長差から、上目遣いになるAに少し鼓動が早くなるのを感じながらそれを振り払うようにAから視線を逸らす。
「じゃ、私行くね。次の場所に」
「あ？山王戻るなら送るけど」
「あー、暫く戻るつもり、ないんだ」
「はあ？当てはあんのかよ」
「…ない、です」
「馬鹿？」
馬鹿と言われて少しむっとした様子のAに背を向けて、スマホを取り出すと兄貴に掛ける。ツーコールで出た、はや。
「うちに女、置いてやってくんない？」
『開口一番びっくりするわ、』
「ほら、MUGENの女…覚えてるだろ？」
『Aちゃん♡』
「それ。てか、行く宛なく人探ししてるんだと…馬鹿だろ？」
『そんなとこも可愛い♡』
「で？いいの？悪いの？」
『いいよ、広斗が面倒みてね』
「…あー、うん」
『今の間は？』
「じゃ、連れて帰っから」
Pi ー
電話を切って振り返ると、居た堪れない様子のAが俺が振り返るなり間合いを詰めて言った。
「あ、あのっ…」
「いいってさ、雅貴。うち来れば？」
「…あ、…うん。いいの？」
「だから、言ってんじゃん」
「よ、宜しくお願いします」
「ん、」
肩をぽん、と叩いてバイクのところまで足を進める。足音が聞こえたからAはちゃんとついてきてるんだろう。バイクに跨ってヘルメットを被る。傍まで寄って来たAに視線をやると、小首を傾げて俺を見るからヘルメットを突き付けてやった。
「乗れ、A」
「…っ、うん…広斗」
照れ臭そうゆはにかむAはバイクに跨ると俺の腰に腕を回した。女を乗せるのも久々、こんな気持ちになるのも…。きっとこいつの所為だ。
あの抗争から、俺の中に住み着いた存在。
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テトラ(プロフ) - れおなさん» 喜んで頂けて嬉しいです！これからも良かったら読んでやって下さいm(_ _)m (2016年12月11日 11時) (
レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - ホントにそうですよ！笑こんな、イケメン兄貴がいたら自慢になるし、いいことありすぎて！更新、ありがとうございます!! (2016年12月11日 8時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» うちのお兄ちゃんでもいいと言っていただけたら有難いですm(_ _)mコメントありがとうございます！ (2016年12月8日 8時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - キャーーー!!雅貴ーー!!広斗もいいですけど、雅貴もいいですね！ (2016年12月7日 18時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» れおなさん、お久しぶりです！期末テストお疲れ様ですm(_ _)mコメントは下さるだけで有り難いです！はい、共に買いましょう！デーブイデーを！笑 (2016年12月1日 19時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：tetoratora0216 | 作成日時：2016年11月25日 18時
