FOREVER YOUNG AT HEART 零.

06. ページ11

あの後、雨宮弟の前で盛大に腹の虫が鳴り爆笑されて只今…ファミレスです。ファミレス似合わないな、アンタ。こっそり笑ったら？こわ〜い顔して“何だよ？”とか言うから“何もないす”と顔を逸らした。


「お前、腹減ってんだろ？食えよ」
「あー、うん」


雨宮弟が適当に頼んでくれてテーブルの上はオーダーしたラインナップがずらりと並んでいる。目の前でさっきから良い食べっぷりの雨宮弟。うちの周りの男も食べっぷり良いから見慣れてはいるけど、いいよね。


「これ、美味い」


そう言って皿を私に寄せてくれるから小さく礼を言って口に運ぶ。うん、美味しい。余りファミレスとか来ないから何から新鮮でもあった。
デートみたい…は？デートて、自分の発想に驚きだわ。もう彼氏いない歴半年になるかな、前はあの無愛想なコブラ…ははは。


「お前、案外しゃべらねーのな」
「ちょっと会話が見つからない…」
「ふはっ、じゃあ殴り合いでもする？」
「…私はもう、MUGENじゃないから」


そう言ってもう一口、雨宮弟が薦めてくれた料理を口に含むと、カチャンとフォークを置いた雨宮弟がテーブルに頬杖をついて私に視線を向けるから一暼して、視線を窓の外へ逃がした。


「なに？」
「人と話す時は目を合わせて話せって、親に言われなかったか？Aちゃん」
「物心ついた時には施設に居たから、親の事はちょっと解らない」


窓の外から視線を雨宮弟に向けると、驚いたのだろう頬杖をついた手から顎が持ち上がっていて目も軽く見開いていた。


「…お前、ずっと一人なの？」
「ううん、施設出てからは琥珀と住んでる」
「は？お前、琥珀の女なの？」


その言葉に雨宮弟をじっと見つめて、首を横に振った。怪訝そうな顔をする雨宮弟に言った。


「琥珀は私の兄貴分。信じなくてもいいよ」
「…」


立ち上がって伝票を取ると“行くね”と行って雨宮弟を一瞥したが、何とも言えない表情で考え事でもしているかの様だった。
レジに伝票を置いてお会計をしようとした時、財布をぱかっと開くとお札が一枚も不在。しまったあ！お金下ろすの忘れてた…。そう思った瞬間、背後から一万円札がすっと出て来た。


「俺が払う」
「え、あ、後で半分渡す」
「お前な、こういう時は奢られとけ。一応、女だろ」


一応は余計である。“ご馳走様です”と言うと“おう”と返されてまた無言。会計が終わって外に出ると気持ちの良い風が吹いていた。


「お前、今どーしてんの？」
「琥珀、探してる」

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