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“A、九十九…お前らは何があっても琥珀の傍に居てやってくれ”
嘘でしょ、龍也…
やだ、よ
行かないでっ!
「嫌だああああああああああっ!」
はあ、はあ…夢か。
また龍也が亡くなった時の夢だ。
もう戻らない龍也が、何度も何度も頭の中で蘇る。
ベッドサイドの時計を見ればまだ朝の5時。部屋を出て琥珀の部屋に視線を向けるとドアが半開きだった。
「兄貴?」
声を掛けてからドアを開けてみたけど、家主の姿は無かった。最近いつもそうだ、余り家に帰って寄り付かない。バイクも無い、何処に行ってるんだか。
私は未だ、龍也の墓前に立てないでいる ー
ずっと一緒だった。龍也は私のもう一人の兄だった。今もずっと、一緒に居るはずだったんだ…それなのに。龍也の命は奪われた。MUGENに恨みを持つ者の仕業だって…。許せなかった、受け入れられなかった。
「私は未だ、龍也を思い出になんて…出来ない、」
ぽたり、ぽたりと涙が溢れる。
何日泣いただろう、どれくらい泣いただろう。龍也が亡くなって部屋に篭って泣いてばかりの私を訪ねて来たコブラやヤマトを追い返した。ほっといてほしかった、誰に何を言われたってこの思いに決着なんか着けれっこない。
「悔しいよっ…龍也、…九十九っ」
誰も失いたくない。大切な人をもう、傷付けられるのは御免だ。ナオミの前で泣けなくてずっと泣き噦る彼女を強く抱き締めてた。唯一の肉親である龍也を喪った気持ちは、ナオミにしか解らないから。涙を拭って琥珀の部屋を出ると、丁度玄関のドアが開いて琥珀が帰って来た。
「なんて、顔してんだよ…お前」
「ごめん、兄貴…なかなか整理つかなくて」
「いつまでも泣くなよ。龍也が心配して…成仏も出来ねえだろ」
うん、と小さく返事を返すと琥珀は私を抜かして自室に入った。いつまでも泣いてるのが良くないのは解る、だけどね琥珀?私達は龍也と長く居過ぎたから、簡単に消せやしない。忘れられやしないでしょ。
再び琥珀が出て来ると私を抜かしてから立ち止まる、そしてゆっくりと振り返って行った。
「MUGENは事実上…解散する」
「…なんとなく、解ってはいたよ」
光を失った様な琥珀の瞳と、私の虚ろな視線が交わると“じゃあな”と琥珀は呟く様に告げて玄関を出て行った。私はなんの疑いも無く、その大きな背を見送った。
これが、琥珀を見る最後となるとも知らずに ー
どうして二人共私を置いていくの
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テトラ(プロフ) - れおなさん» 喜んで頂けて嬉しいです!これからも良かったら読んでやって下さいm(_ _)m (2016年12月11日 11時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - ホントにそうですよ!笑こんな、イケメン兄貴がいたら自慢になるし、いいことありすぎて!更新、ありがとうございます!! (2016年12月11日 8時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» うちのお兄ちゃんでもいいと言っていただけたら有難いですm(_ _)mコメントありがとうございます! (2016年12月8日 8時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
れおな - キャーーー!!雅貴ーー!!広斗もいいですけど、雅貴もいいですね! (2016年12月7日 18時) (レス) id: 3a84a667db (このIDを非表示/違反報告)
テトラ(プロフ) - れおなさん» れおなさん、お久しぶりです!期末テストお疲れ様ですm(_ _)mコメントは下さるだけで有り難いです!はい、共に買いましょう!デーブイデーを!笑 (2016年12月1日 19時) (レス) id: 7f7b42d4ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:tetoratora0216 | 作成日時:2016年11月25日 18時