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それから、幾度となく彼女の元を訪れた




お互いのことを少しずつ話したが、自分が獄卒であることをまだ打ち明けることはできなかった




....きっと最後まで打ち明けることなどできないのかもしれない








そんな中である日、




「最近、なんだか記憶が曖昧になっていっている気がするんです...」





雨の中、遠くを見つめながら彼女はそういった





「待っていなくちゃ、っていうのはわかるんですけど、でも」




彼女の表情が曇る




「どうしてなんだろう、思い出せないことが増えている気がして。」




苦しそうに表情を歪める彼女




「大切なことなのに。自分でも気づかないうちに忘れていってるんじゃないかって」




"こわいんです"



俯き、ぎゅっと拳を握る彼女



(あぁ、忘却が始まったのか。)



そっと彼女の背中をさすりながら思う








忘却





生前の記憶が少しずつ消えていくこと



亡者にはよくあることで、長い間現世に留まり続けることによって引き起こされる




留まることになった理由を忘れ、目的を忘れた亡者は怪異を引き起こす可能性も高くなる



....もしそうなれば我々が動き出すのも時間の問題だ







「....大丈夫ですよ」



「えっ?」






無意識に口をついて出た言葉


真っ直ぐに彼女を見つめる


不思議そうに見つめ返す彼女






「大丈夫です。」




励ますように、そっと彼女の手を包み込む



おれの手に視線が移り、じっと見つめる彼女



ふっと笑うと




「あったかいですね、木舌さんの手」





安心します、と言うと今更照れたのか顔を背ける彼女







....とてつもなく愛おしい。








彼女の前だと余裕が削られる







「木舌さん、」



「はい?」





「また会いに来てくれますか?」






少し不安そうな眼差し


安心させるように微笑んで






「もちろん。何度でも、貴女に会いに来ますよ」







そう言うと、彼女は穏やかに笑ってくれた

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月宮 - この話を読んで、とても感動しました!!続編書いてください!お願いします! (2017年10月9日 19時) (レス) id: f4c0172fdb (このIDを非表示/違反報告)
白鳩 - 感動しました!続編書いてください!お願いします!<(_ _)> (2017年2月11日 14時) (レス) id: b94160b3d3 (このIDを非表示/違反報告)
鏡月 - 泣けます:(T-T):今後どうなるか知りたいです (2016年5月3日 14時) (レス) id: fa9e7fd0b8 (このIDを非表示/違反報告)
てとら(プロフ) - swksさん» わぁぁぁぁコメントありがとうございます!!!!気になっていただけて嬉しいです(´;ω;`)あと数話で完結予定なのですがなかなか更新できず申し訳ないです!!もう少しお待ちください!! (2016年4月2日 17時) (レス) id: 56c156c5fc (このIDを非表示/違反報告)
swks - つづきが・・・・続きが気になりますぅ〜どうかどうか続きを〜〜 (2016年3月29日 22時) (レス) id: b2424ffcad (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てとら | 作成日時:2015年10月11日 22時

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