【実況者】魔法使い候補は天使に恋をする【レトルト】

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"夕飯を作ってくれる"というお誘いから料理の話になり、


今まで作った料理や、始めたばかりの頃の失敗談なんかも聞かせてくれた彼女




｢それでね、初めてお魚を焼いた時なんか、真っ黒になっちゃって！｣



｢真っ黒って！そんなことあるん！？｣




楽しくて、話が尽きない。



そんな時、目の前で小さな女の子が転んだ





｢あっ！｣




それに気づくと一目散にその女の子の元へかけていくAちゃん


俺も慌てて追いかける





今にも泣き出しそうなその子を抱き起こすと、よしよしと慰め始めた



｢よしよし、大丈夫、大丈夫
ちょっと擦りむいちゃったね。
お姉ちゃんと一緒に水道行こっか｣




泣き出してしまった女の子と手をつなぐと、公園の水道のところまで一緒に歩いていく。



傷口を丁寧に洗い、ハンカチで拭いてあげると、
彼女は花柄の可愛らしい絆創膏をカバンから取り出した。


そしてそれを傷口に貼ってあげると




｢よし！これで大丈夫！｣




にっこりと小さな女の子に微笑みかける






でもまだ女の子は泣き止まない


それにはさすがにAちゃんも困ってしまったようで、おろおろと女の子の頭をなでてあげている







こういう時って、傷はもうそんなに痛くなくてもなかなか止まらないんよな、涙



小さい時を思い出した俺は小さな女の子の元へ近づき、目線を合わせるためしゃがんだ。






｢よしよーし、お兄ちゃんが来たからもう大丈夫やで！
お嬢ちゃん、痛いのはここ？｣





膝の擦りむいたところを指さして聞くとしゃくりあげながらも頷く女の子





｢そかそか。
あのな、お兄ちゃん、魔法使いなんよ
今からここの痛いのお空に飛ばしたるから、よう見とき？｣





俺の言葉を聞いて、女の子がきょとんとした顔で泣き止む

そして不思議そうにこくん、と頷いた






｢ええか？いくで？

ちちんぷいぷい 痛いの痛いのとんでけー！！｣




女の子の膝をさした指をくるくると回しすっかり茜色になった空に向ける

全力を込めた、我ながら渾身の演技である。




｢な？痛いの飛んでったやろ？｣



笑ってそう聞くと
パァァァと顔を輝かせ



｢うん！！飛んでった！！
痛いのお空に飛んでっちゃった！｣



お兄ちゃんすごい！
そう言ってやっと笑顔になってくれた女の子



俺も一安心である



｢お兄ちゃん、お姉ちゃん、ありがとう｣



またね と手を振ると、女の子は母親らしき人の元へ駆けていった。

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