私のトリップした世界は……

夢2 ページ9

ASide

A「ママ、わたしのパパってどんな人だったの？」

これは私がちいさい頃の記憶だ。

ママ「パパはAみたいに綺麗な黒髪と吸い込まれそうな瞳だったよ。普段は冷静で少し言葉は少なかったけど、誰よりも先を見通す力があってとても格好良かったんだ。少し恐くて強引な所もあったけどね。」

私には小さい頃からパパがいなくてよくママにパパのことを聞いていた。
パパの話をするママの笑顔も好きだったし、それにパパがいたらどんな暮らしをしていたか、どんな遊びをしていたか。
勝手に想像していた。

ママ「でもママはパパを置いて来ちゃった……駄目なママだよね。でもいつか三人で暮らせたらな……」

ママとパパは離婚した訳でも死別したとかでもない、だけどママは頑なにパパが今どこで何をしているのか答えなかった。

最初はママとパパ三人で暮らしたかったなって思ってたけど成長するごとにパパへの興味はなくなってしまった。

それから私は高校生になった。

高校ではなんとなく部活に入ってなんとなく勉強していたけどママは叱ったりもせずただ優しく見守っていただけだった。

でもそんなやさしいママだったからあんなことが起こったんだ。

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