キスフレ (ページ43)

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思わず顔を見上げると、特段何も思ってなさそうな顔をしている

「…なんでそう思うんですか」

「神ちゃん見てる時だけなんか可愛かった」

「か、かわ！？」

「やし、神ちゃんが好きそうな髪型と服装やなぁって」

違ったらごめんな～と言う藤井さんはさっきと変わらず本当になんとも思ってない顔をしていて
釘を刺そうとか肩を持とうとか何も思っていないことが分かる。

流星は抜けてるけど、1番周りを見てる。
神ちゃんが前に言ってた。
本当によく見てるんだなあ

「........言わないでくださいね」

藤井さんには誤魔化す必要がないか、と諦めた

「んはは、やっぱそうなんやぁ。大丈夫、言う人がおらんよぉ」

でも分かるで、俺も神ちゃん好きやもん。とズレた回答をする藤井さんに、「ライバルの顔面が強くて心が折れました」と伝えると「えへぇ、ありがとう～」とポワポワ笑顔で返された。
総じて、そうじゃないと言いたいけど可愛いからいいや。

あと数メートルで曲がり角に差し掛かるところで藤井さんが立ち止まった

「さっきの話やけどなぁ」

「えっはい、急に？」

「最近、共演した女優さんがよぉ神ちゃんに会いにきてて」

「…はい」

「今日もライブ中見つけたから、さっきの電話もその人やと思うねんなぁ」

「…なるほど」

「で、たぶんここ曲がった先におる」

前来てた時もそのへんにおってん。と言われ身構えてしまう