キスフレ (ページ36)

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楽屋訪問ページ36

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終わってしばらく放心状態でいると、会場からファンがはけていく

「終わったね。どうだった？」

「…好きでしかない」

「ふうん、やっぱそうなんだ？」

傍から見ればただの1ファンの会話だけど、この好きは憧れとか推しとかそういうものではくくれなくて
団扇を抱き締めて未だに放心状態な私を立たせて、手を引くユカコ

「いくか」

「…うん」

余韻もクソもない状態で会場から出る
そのまま外に向かうのかと思いきや、スタッフに声をかけて別の通路へと移動していく

「えっなにどこいくの」

「まあまあ」

まあまあじゃねえよ、と悪態をついても知らん顔で突き進んでいく
そういうとこあるよね、嫌いじゃないけどさ。
嫌いじゃないけど、そういうとこあるよ君。

ファンらしき人はおらず、スタッフさんばかりの廊下を、挨拶しながら通るゆかこにただただ引っ張られていく
こんな裏側一生見れないななんて呑気に考えていると、ユカコが1つの部屋の前で立ち止まった

「ここに祐輔いるの」

「あ～、なにそういうこと。言いなよみずくさいな」

「愛しの旦那に挨拶だけして帰るから一緒に来て」

「おせえ、もう連れてこられてんだわ」

まあまあ落ち着きなよ、とむかつく顔をしながらドアノブをひねり中に入っていくユカコに続き中を覗くと
扉の向こうにはツアーTシャツを来た祐輔君がいた。