嘘2 ページ32
「あぁ、ごめんなさい。そうですね、少し寝ようかな。」
ボーっと色々なことを考えていた私を不安そうな目で見つめるカカシさん。
あぁ言わないで。
カカシ「A、俺•••」
「そうだ!奈良家に資料返さなきゃいけなかったんだ!じゃあまた!」
カカシ「A!」
Aの手首を掴むカカシ。
カカシ「今言わなきゃいけない気がするんだ•••。」
言わないで。好きって言わないで、、。
もし言われたら、元の世界に戻ったとき辛くなる、、。
たぶんあたしにはもう、カカシさんしかいない。
イルカ先生から聞いた三代目の言葉を思い出す。
私は愛されるべき人間で、愛されるためにここに来たと。
でもいざ、幸せを目の前にすると怖くなった。
それほど向こうにいた私は不幸せだったのだろうか。
「カカシさんはあたしにとって上司。それ以外でもそれ以上でもない。ごめんなさい。」
掴まれた手首を後ろに、振り向かない状態で冷たく言い放つ。
唇をぐっと噛んで涙をこらえる。
私もモモさんのように後悔するだろう。
いや、もう後悔している。これがずっと続く。
だから、気づかないフリをやめて、気持ちに嘘をつく。
カカシ「そうだな。すまない。ま、忘れてくれると助かるよ。」
細くて長い指だけど男らしい大きな手が私の手首から離れていく。
静かに深呼吸をして、振り向く。
「これからもよろしくお願いしますよ!」
潤った目に気づかれないように目をぐっと閉じて思いっきり笑った。
そして走った。
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作者名:てた | 作成日時:2019年6月2日 11時