パン屑82個 ページ35
『それで？』
Aが短くそう言う
6人は分かっていない様子で、揃って疑問符を浮かべている
その様子に溜息を吐くと、固くなった表情を崩し 続けた
『今度は何を困ってる？何か、言いたいことがあるのか？』
Aの問いに、分かりやすく動揺が見えた
その様子に、Aがまたも溜息を吐くと
今度は恐怖に染った表情で 縋るように声を上げる
Na｢ｯ、お願い！捨てないで…お願いします！｣
ｼｬ｢ごめん…ちゃんと言うから……！｣
ｷﾝ｢隠し事しないから！お願い…｣
ｽﾏ｢⋯もう、捨てられるのは…いやだ……｣
怯える6人
どう育てれば…なんて、いつかに抱いた怒りが覗く
それを振り払うように頭を振って
彼等を抱き締めると、柔らかい声で呟いた
『捨てるわけねぇよ｡そんな事しねぇ
ただ、隠されるのは嫌だな｡抱えさせたくねぇんだ
だから、ちゃんと話して欲しい｡お前らだけで、抱えるな』
背中を叩きながらそう言うと、上がっていた呼吸が落ち着く
暫くそうしていると、もう大丈夫だと言うように胸を押された
力に従い離れると、まだ少し怯えた色を残して
Nakamuが真っ直ぐにこちらを見ているのに気付いた
Nakamuは、深く息を吸い込むと
意を決したように 震える唇から言葉を吐いた
Na｢Aさん、ごめんなさい…
人狼って言うのは、少しだけ嘘なんです｣
目に溜まる涙を零さないようにと唇を噛みながら
Nakamuは震えた声でそう言った
他の5人も、言葉こそ出さないものの 俯いたまま震えている
そんな6人を前に、Aは表情を変えずに聞き入る
Na｢その…少し、って言うのが…なんて言うんだろ…あの…｣
ｷﾘ｢⋯Aさん｡人狼について、どこまで知ってます？｣
吃ってしまったNakamuの代わりに、きりやんが口を開く
出てきた言葉に、少しばかり考えるようにして
Aは慎重に言葉を紡ぐ
『一つ、人狼は皆が魔力を持ち 狩りに特化した魔術を持つ
二つ、人狼は魔力を使って身体強化をする事が出来る
三つ、人狼は狼同様に群れを成し 仲間と共に一生を過ごす
四つ、人狼は人間より多くの魔力を持ち
満月と新月にその力が暴走する事がある
五つ、彼等は狼であると同時に人である
俺が知ってるのは、この五つだけだ』
指折り数えて見せながらそう言うと彼等の表情は強ばった
Aを見ていた目は足元に落ち
尻尾は、恐怖を感じた獣のように内太腿に巻きついている
そんな様子を、Aは何を言わず見ている
彼からそれ以上は言わず、言葉を待つように…
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_teto__teto_(プロフ) - とくめいさん» コメントありがとうございます｡一段落着いたら、カウントをパンの個数にするのも、ありですね…とくめいさんも、体調気をつけてください｡これからも是非、よろしくお願いします (2023年3月2日 18時) (
レス) id: 81bd52e713 (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - コメント失礼します。続編きちゃーー！！パン屑でパンが作れそう(？)体調に気を付けて下さいね！^^このお話がもっと評価されますように… (2023年3月1日 17時) (レス) id: e3803de454 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：_teto__teto_ | 作成日時：2023年3月1日 16時
