パン屑63個 ページ16
『⋯⋯⋯⋯』
??「⋯⋯」
互いに、何も言わず見詰め合う
いや、言えないという方が正しいのかもしれない
まさか…いや、でもあれは、確かに人だ
人が、通気口からこちらを見ていた
『⋯⋯あー…もう次の競りが始まったのか』
何も見なかった事にして、運び出される檻に目をやる
抵抗する気もないのか、中には無気力に座り込む商品が並ぶ
『次の目玉はなんだ?』
ふと商人にそう尋ねる
しかし、返事は返らなかった
不思議に思い商人の居る方に目をやると…
そこには、もう息をしていない商人が横たわっていた
留めを刺しただろうナイフを握るのは
先程通気口から顔を覗かせていた、緑のパーカーを着た少年
口元は、場に似合わない弧を描き 鋭い歯を見せた
??「なあなあ!お前もこいつらの仲間なんか?」
『⋯⋯俺は、こいつらの主だ』
??「て事は買ったんか!ほんなら殺さなあかんな!」
訳が分からない
しかし少年は、話を聞く気は無いらしく
形振り構わず突っ込んでくる
幸いな事に、俺の大剣は手元にある
何者か分からない奴の相手をするのは気が引けるが…
いや、今は言ってられないか
??「へー!大剣使うんや!初めて見た!」
『⋯お前は、誰だ?』
??「名乗るわけないやん?」
『⋯⋯ここを、潰す気か?』
??「せやで!総統からの命令やし、なぁ!」
言い切ると同時に、間合いを詰められる
速い…金豚と同等を張れるほどでもないが、重さもある
何より厄介なのは、俺と相性の悪い暗器であること
次々と落とされる攻撃を流すのがやっとな状況…
しかも、ここにはNakamuの大切な仲間もいる
傷つけさせる訳には、いかない
仕方ないか…
『クリスタリー(原石変化)』
間合いをとって、睨み合いの間に唱える
魔力で抽出した原石に、予め魔力を与えておくことで
自在にその形を変形させられる魔術
唱えると同時に、小袋に入っていた鉄が変形し
片手に収まる程のサイズのナイフに成り代わった
??「おま……魔道士か!すごいな!近接も出来るんや!」
『魔術のみで生きられる世界じゃないからな』
フードで見えないが、キラキラと好奇に満ちた目を向けられているのが、何となく分かった
両手にナイフを構え、向こうの動きを待っていると
イヤカムに声が聞こえた
目を離さずそっと通信を繋ぐと、みどりの声が聞こえた
ミド「"Aさん、そこ誰かイル?"」
『⋯あぁ、緑のフードパーカーの男だ。やけに好戦的で…』
ミド「"⋯ァー…イヤカム渡してホシイ、かも…"」
134人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
_teto__teto_(プロフ) - とくめいさん» コメントありがとうございます。一段落着いたら、カウントをパンの個数にするのも、ありですね…とくめいさんも、体調気をつけてください。これからも是非、よろしくお願いします (2023年3月2日 18時) (レス) id: 81bd52e713 (このIDを非表示/違反報告)
とくめい - コメント失礼します。続編きちゃーー!!パン屑でパンが作れそう(?)体調に気を付けて下さいね!^^このお話がもっと評価されますように… (2023年3月1日 17時) (レス) id: e3803de454 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:_teto__teto_ | 作成日時:2023年3月1日 16時