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〜時透視点〜
そういえば…。
平助がさっき言ってたことが気になる。
平助 『Aは、約束を絶対に守る。』
だから…約束しろってこと?
でも今までもちゃんと本人には言ってきた。
何度も…無理しないでって言ってきたよ。
だけど、結局Aは無理をする。
…ちょっと待って。
僕は一度でもAに、
『約束だよ。』って言ったっけ?
そんな覚えない。
普通なら忘れてるだけかもしれないけど、
Aとの会話だけはいつもなんとなく覚えてる。
Aの兄がそう言うんだから、
ずっとそばで見てた人がそう言うんだから、
嘘なわけがない。
今ここで、ちゃんと約束しよう。
時透 「A。」
A「…?」
時透 「約束してほしいことがある。」
すると、Aは目の色を変えて、僕の目を真っ直ぐ見た。
やっぱり、平助が言ったことは本当だったんだ。
時透 「無理をしないで。
鬼殺隊のことだけ考えないで。
ちゃんと自分のことも考えて。
僕を…心配させないで。」
約束事多くなっちゃった。
でも、これだけは守ってほしい。
時透 「…約束して。」
すると、Aはきれいな笑顔を見せた。
A「…うん。約束する。」
〜A視点〜
急に約束してと頼まれたけど、
どうしたんだろう。
でも、約束は、意地でも守るよ。
時透 「…絶対だからね。」
A「…うん。」
時透君の顔を見たら、目元が赤いのに気がついた。
泣いたのかな?
私が倒れちゃったから?
もしそうなら心配かけて申し訳ない。
でも、少しだけ嬉しいかもしれない。
時透 「…ほら。早く食べなよ。箸が止まってる。」
A「あ、うん!」
ここは多分蝶屋敷だから、このご飯もきっと胡蝶さんが作ってくれたんだろう。
時透君は料理しないからね。
あ、でもこの味、アオイさんかも。美味しい。
そのときだった。
胡蝶 「時透君。A。入りますね。」
胡蝶さんだ!
A「胡蝶さ…!?」
胡蝶 「…A…。」
不敵な笑みを浮かべる胡蝶さんがとても怖い。
うん、怖い…。
胡蝶 「…あれだけ無理なさらないでくださいと言いましたよね?」
A「…あ…はい…。」
胡蝶 「あなたも、無理をしないと言いましたよね?」
A「………はい……。」
このあと胡蝶さんにとてもとても長いお説教をされた。
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