検索窓
今日:1 hit、昨日:8 hit、合計:59,857 hit

12 ページ13

やっぱりそうだよな。私って、人に迷惑かけることしかできないんだ。役には立てないんだ。
私より何倍も大変な仕事をしている人たちだっているのに。
こんなところで体調を崩すなんて。限度を考えないなんて。
馬鹿だ。
役に立てないじゃない。立たないといけない。役目を果たさないといけないのに。
自分が嫌になってくる。
私は本当にここにいていいのだろうか。
役立たずの私なんか…。

ああもう!訳がわからない。


A「!?」


私の手に何か温かいものが重なった。






時透 「焦らなくてもいいよ。」


時透君は微笑んで私に言った。温かいものは、時透君の白い手だった。


時透 「焦らなくても、君の居場所はなくならない。」
 
A「…え?」


初めて見た。時透君の笑顔。温かい。いつも無表情のくせに。こんな顔ができたんだ。


時透 「自分で自分を追い詰め過ぎだって言ってるの。Aはそういう子だから、ちょっとしたことで色々考えちゃうと思うけど。」
 

さっきの冷めたような声が嘘みたいに優しくなってる。


時透 「気にし過ぎたら、それでこそ君が壊れる。役に立ってるか立ってないかなんて、君が決めることじゃないでしょ。」


まるでさっきの心が読まれているかのよう。


時透 「だから、無理しないでよ。僕だって、お客さんだって、君が笑顔だと心が安らぐんだ。君の心からの笑顔が、皆大好きなんだ。これからも、その笑顔を僕達に見せてよ。


命をかけて戦う勇気を、希望を…皆に届けてよ。」


時透君や皆にとって、私はちゃんと役に立ててたんだ。



それを私は今、裏切ろうとしてた。最低だよ私。


時透 「…今言ったばかりでしょ。泣かないの。…笑って。」

A「…無理だよ。」

時透 「分からずや。…まぁ、僕の前だけでなら、泣いてもいいよ。」



そう言うと時透君は私を抱きしめた。
普通なら恥ずかしいけど、今はそれよりも嬉しい気持ちで溢れてる。
皆にとって、私は必要な存在になれていたんだ。
それだけで嬉しかった。

今だけなら、泣いてもいいよね?




時透 「てことで、今日はお店休んで。ご飯食べて寝て。」

A「ご飯はちょっと…私食欲な(時透「Aが食べ終わるまで僕、帰らないからね?」はい。」


このあと、時透君に強制的にご飯を食べさせられ、本当に食べ終わるまで帰ってくれなかった。

感謝→←11



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (54 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
116人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:照山紅葉 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2021年9月29日 23時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。