飛行機(中編A) ページ2
「アンタ誰？」
「いや、それこっちのセリフ！てか、いきなりレディーの目の前に現れるとは失礼な！」
私はレディーとか言えるほどおしとやかじゃないんだけど、まぁここはレディーにしとこう。
「呼んだんだから来たんだよ」
「いや呼んでないし！」
「あ、そうそう。ちょっといいかな？」
そう、目の前に現れた少年に言われると、少年は私の腕を掴んできた。
「のは！！？ちょっと、離して！！」
「はい、連行ー♪」
「あああちょっと！！」
コイツ細身のくせに、けっこう力あるんだな…いや、離せヘンタイ！
＊
山道をひたすらと歩き、山の中に入った。
私が連行されたのは、古寂びた大きな倉庫の中だった。倉庫と言っても体育館くらいの大きさ。
ん？何かある…
「じゃーーーーん！！」
「はい？」
「さぁ、ご自由に褒めてください。オジョウサン」
「はい？(キモいよ君？)」
何かあると思えばそれは…
「軽飛行機だよ、飛行機だよコレ！！」
よく見るとそれは小型の飛行機だった。
２人くらいしか乗れそうにないコックピット、大きな翼は私の身長より大きそう。
なるほど、コイツは自家用飛行機を持てるほどのぼんぼん(お坊ちゃん)なのか。
「流石金持ち…次元が違うな」
「ん？金なんか無いよ。自分で造ったんだ」
「ああ。ああ！！？」
HAHAHA……冗談じゃないみたいだ。
そう思えばよく見ると、ところどころコードがとび出してる。
「て、ことではいどーぞ」
「ん？何」
手渡されたのは、なんかヘッドフォンみたいなやつ。
「試験飛行、乗って☆」
「ん？聞こえなかったんだけど？？」
「し・け・ん・ひ・こ・う！」
「ん〜？どういうことかな？」
「ささ、乗ろうね」
「うん、乗るわけないでしょ☆離して手」
「えー、乗ろう乗ろう」
「ちょ、離して！！？」
「はいはい、乗ろうね」
「離して！ギャーヘンタイ！！」
山の中で私の変な叫び声がむなしく轟く。
うん。
一旦、情報整理しよう。
……試験飛行？嫌だよ落ちたらどうすんの！いやぁぁぁぁ(心の叫び)
これあれだよ！誘拐だよ！！おまわりさんここです！！
てか勝手に空飛んでいいの？罪とかなんないの？？
「誰かー！！助けてお願い、神様仏様大仏様おばーちゃーん！イチー！！」
「んじゃ、出発しようか」
「待って待ってええ！！？」
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作者名：りあ | 作者ホームページ：http://kabepurodaisuki
作成日時：2016年4月5日 11時
