[文豪ストレイドッグス]掴んだこの手を、もう離さない[芥川龍之介][太宰治]

好きと居場所4 ページ5

、
太宰side


心配で部屋を行き来する事しか出来なかった


もし、Aが戻って来なかったら？


探偵社員として、兄として、人間として、危険な場所に大切な妹を行かせるべきでは無かったのでは？


Aが怪我をしていたら？傷ついていたら？


私は屹度、黒に戻るだろう




GPSでAの場所を確認し、Aを迎えに行こうと外套を羽織り家を出た


｢A｣




ーーー
Aside



夜中の公園はとても静かだった
私は久しぶりにブランコをこいでいた


龍之介と樋口さん、お似合いだったな…


私はもう、必要無いんだ、だって龍之介たちにとって私はただの世話係だったんだから



｢A｣



｢…兄さん｣

｢怪我は…無かったかい？｣

｢うん…広津さんが庇ってくれてたから…｣


兄さんは私の隣のブランコへ座った


｢他にも何かあったんだろ？｣

｢無いよ…｣


そっか、と兄さんは笑い私の顔を大きな温かい手で包み込んだ

指先が目元をなぞりその、指先が湿っているのに気が付いた


｢Aが傷つく事は無いよ｣

｢っう…｣

｢私はAの泣き顔が嫌いだよ
胸が…苦しくなる、泣かせたやつに腹が立つ｣


顔を包んでいた指が、頬をつまみ少し引っ張った


｢可愛い顔が台無しだ、笑って？｣

｢いひゃい…｣


兄さんは不意に立ち上がり


｢さぁ、プリンでも買ってかえろうか｣


子供の様に笑った


｢うん｣




、

私と探偵社→←好きと居場所3

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す