[文豪ストレイドッグス]掴んだこの手を、もう離さない[芥川龍之介][太宰治]

＊ ページ19

、


ついに、試験の日

年代の様々な人が集まった試験会場は緊張感が漂っている

こんな場は初めてで、心臓が押し潰されそうだ


試験監督の合図で始まる


…ここ、教えて貰った所だ

わかるし、解ける…


ーー


｢本当に緊張した…｣

｢よく頑張ったね、甘い物でもどうだい？｣

｢食べる！｣


兄さんと帰りにカフェのうずまきに入ってケーキを食べた


｢ふふっ…美味しい…｣

｢よかったね、私にもくれるかい？｣

｢うん、どーぞ｣


意識せずに兄さんにケーキの乗ったフォークを兄さんの口元に差し出した

それを兄さんは何の躊躇なく食べた


｢あら、太宰ちゃん
彼女とデートかい？｣

｢うふふ、そうなのだよ｣

｢ち、違いますよ！兄妹ですよ！？｣

｢何もそこまで否定しなくてもいいのにぃ｣

｢そうかい、妹さんかい
言われてみればそっくりだねぇ、目も口も髪も｣


店員さんは、興味深そうに私と兄さんの顔を見比べた

そっくり、幼い頃の方がもっと似ていた
でもわかる人にはわかるのだろう


ーー

｢兄さん、あのね｣


ケーキを食べ終わって、2人でゆっくりとしている時に私はそっと、思っていたことを切り出す


｢どうか、したのかい？｣


｢私ね、武装探偵社で働きたい！｣


｢どうしてだい？危険な事も沢山あると私が入社する時に説明した筈だ
それに簡単じゃ無いんだ、探偵社(うち)は来る者拒まずだけど乞えば誰でも入れる様な所じゃない｣


本気で私を論破する策に出たか…

でも、こんな時、対兄さん用の作戦がある
それもとっておきのだ


｢兄さんは…私じゃ無理だっていいたいの？
兄さんが言ったじゃない！自由に生きて欲しいって…私も人助けの出来る所で働きたいのっ…｣

｢それは…｣


兄さんの弱点は、私が少し強く出る事だ
今まで肯定しかしていなかった私が少し強く反抗すること

そうすれば兄さんは折れる


｢しかたないね…今度、正式な手続きを踏もう｣

｢うん！｣

｢あー、でも高卒認定合格してからじゃなきゃ不利かもしれないね…
それ迄は保留ってのはどうだい？｣

｢うっ…｣

｢それにAはまだ未成年じゃないか｣

｢私はもう18歳だもん！｣

｢そうやってムキになる所まだまだ子供だなぁ｣


私のおでこを人差し指でつついて兄さんは笑う

その顔は兄が妹に意地悪をする時の顔だ


｢兄さんなんて嫌い！｣

｢ふぅん｣


ーー

｢顰め面も可愛いな…｣と思っていた太宰(兄)

＊→←＊

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す