やっとですか、江口さん。

聞いてくれますか？ ページ15

あんなに恋愛トークが弾んでいたのに
流石そこはプロ
しっかり切り替えて収録は順調に進み

無事に時間通りに終了。
今日はこれで皆仕事は終わりのようだった



福「いや〜飲みに行きません？」


安「いいですね〜」


柿「お供します！」



皆でこのまま飲みに行く流れになり
自分も行くと伝えた為
準備をしていると



寺「江口くんはもう一仕事あるでしょ！」



「え？」



賢「東さんに誕生日！」




「ｳｯ!!」



恥ずかしくて聞けないのと
どう切り出せばいいにかわからずに

今日聞くのはとりあえず諦めようと思っていた所に



安「そうだよ！お前は東ちゃんに聞いてから来いよ！」



福「そんでいろいろ話聞かせろ！」



「そんなぁ〜〜〜」




「江口さん頑張って〜」「おつかれ〜」と言って
本当に僕を置いて行ってしまう皆


ブースには俺一人が残されてしまった。






「お疲れ様です、江口さんは飲みに行かないんですか？」



するとそこに現れた彼女
初めの頃とは違って随分フランクに
話しかけてくれるようになってきた


「いや…この後行きます…！」



「そうなんですね…！」



そこで会話が止まってしまう
どうにか続けないとと思っていると彼女の方から話を切り出してくれた



「なにか、悩みごとですか？」



「え？」



「いや、なんとなくですけど…違ってたらすみません。」



「いや！でも別に大したことなくて！あの…」



貴方の事で悩んでいます。
なんて言えないいいいいいいいいい！！

と、心の中で叫びながら
でもチャンスだと
己に言い聞かせてなんとか言葉をつなぐ




「あの…本当に大したことは無いんですけど…」


「！…はい、私でよければ話聞きますよ。」



彼女は真剣に僕の悩みを聞こうと
真剣な顔で近くの空いてる椅子に座る



「あの…本当に全然大したことないんですけど！」


「はい。」



こんな状況でどうやって誕生日を聞けと…？

彼女は本気で悩みを聞こうとしている
でも俺が悩んでいるのは
貴方の事で、しかも誕生日を聞きたいだけなんです…




「…えっと…」



「…すみません、言いにくい事なら言わなくても大丈夫ですよ。」



中々言わないのを見て気を使ってくれたのか
眉毛を下げて優しい顔でそう言う彼女



「や！…だい…じょうぶです！…聞いてくれますか？」


「はい」

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