【トリコ】彼らの愛者ｰハシモノｰ6 (ページ41)

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次郎さんの孫ページ41

　
鉄平「…ん！？名前って、Aって言った？」

『ぇ、あ、あぁ…そうだが…』

何故か聞き返されて何事かと思うと鉄平、さん？は顎に手を当てて何かを呟いている

鉄平「小さい頃からジジイが会わせたいっつってたな…君が…A…ちゃん、でいいかな？」

『えぇっと…私は26歳なんだが…』

鉄平「え！1歳違いなの！？ん～……じゃあ、Aって呼び捨てしてもいい？」

『あ、あぁ…私も鉄平って呼ぶよ。』

互いの自己紹介を終えて何となく鉄平の事を観察しているとバッと後ろを向いた。何事かと思っていると覆面を付け直した。

鉄平「…わり、A。何か来るみたいだ、移動するぜ。」

『へ、うわっ！？』

私の事を肩に担いだと思うと一瞬で反対側に飛んだ。私をサッと下ろし周りを警戒し始める鉄平。

鉄平「…こっち側か…？」

ブツブツまた何かを言いだした鉄平に合わせて静かにしていると上から誰かの走ってくる音と息遣いが聞こえ、その方向を見るとそこにいたのは

『小松くん！』

鉄平「あっちか！！」

小松「！？Aさ、わぁああぁっ！？！？ご、ごめんなさ…！………え？」

小松くんに向かって私と同じように鉄平が飛んでいったと思ったら、驚く彼を素通りして奥の様子を見る鉄平に小松くんは戸惑っている。

小松「？………っわぁあっっ？！」

『！』

しばらくすると手のひらくらいある虫が奥から出現し、どうするのかと思った瞬間、蚊を潰すように両手で叩くとパァンッ！！とすごい音と共にその虫は粉々になる。

鉄平「こいつのノッキング法は知らねーや。」

小松「ひぃーーっ…！」

鉄平「しっ、静かに。喋らない方がいい…この大陸から帰れなくなるぞ…」

小松「…？……！？…っ！」

『…静かに』

私も後ろから唇に手を当てると意図をくみ取った小松くんはコクコクと頭を縦に振る。それを見た鉄平が先ほどのノートを小松くんにも見せた。

小松(……字汚な)

『…小松くん、』

小松「？……こ、これは……これって、まさか…！」

鉄平「あぁ、そのまさか、さ…それを今、口にするなよ。」

『あぁ…』

小松「は、はぁ‥…で、でもその、それって本当ですかね……」

『うん、だって…？』

鉄平「…ぁ、そうか、さっきの…っと、」

そう開いたページには全く名前の違う依頼人の名前で確認した事と、私達を置いて行くという文字。そして小松くんは気づいたように絶望した顔で下に走り出した。
　
　