【トリコ】彼らの愛者ｰハシモノｰ6 (ページ39)

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偏見の払拭？ページ39

　
『…ここは…』

耳元で聞こえる羽音にも慣れたころ、私は未だに肩をつられながら移動させられている。

『…っどこだ……地下に入っていったのは、わかるが…どこなんだ……』

外だった道から氷の中…いや、地下に入り込み、朝か昼か、夕方でさえわからない。そう考えていると黙々と私をどこかに運んでいた虫が突然進路を変える。

『…困ったな………？、どうし、わっ！？』

地震のような衝撃で周りがグラグラと揺れたと同時に氷山が少しずつ崩れている。先ほどの場所を見るとほぼ頂きだった大きい氷山が崩れているのが見え、慌てる…しかし

『…賢いな』

進路を変えたことによって崩れた氷山の欠片が私達に降りかかることはなかった。

(…む、虫のことを一方的に嫌うのは、良くない、な……)

そう賢く、虫への偏見について少し考えなおしていると、近くにあった下に向かって空いている穴の中に入っていく。何だか少し不安に思っていたが広い場所に出、る…

(あれは…！)

その広いホールには大き過ぎる図体に沢山の首を生やし、首1つ1つに顔のようなもの…牙が無数にあるヘルボロス。

凍っていても大きな口が全方角に伸び、何もかもを食べてやろうと暴れていた事がわかる。

『…すごい綺麗にノッキングされて凍っている……次郎さん、か？』

虫はそんなものには目もくれずさらに下に連れて行ってくれ、少し壁が低くなった穴の前に私を下ろす。

『ん、ここからは私も君もぶつかっちゃうかもしれないね。』

そう言ってその虫を見ると大人しくしている、もしかして帰るのかな？と思ったら私の肩に羽を仕舞って止まる。

『…まずい、愛着湧いてきた。』

驚いたがきっと1匹で私の事を運んでくれたので疲れたようだ。羽休めみたいなものか？とそのまま肩に止まらせ、私は下に続く道を進んでいく。

進むにしたがって光が強くなり、ショーウィンドーが近い事がわかり足を速める。

『よし、もう少しだな…ん？』

グニャグニャと曲がる道を気を付けながら歩いて行き、やっと大きい…多分センチュリースープが在るはずの広い場所に出た。

『！！！』

？？「！」

そこには私がバーで見た黒い覆面にピンクの髪の男が、座り込んで何かを見ていたようだ。私の存在に気づいた男が凄い勢いで飛んできたのと同時に腕を前にして構える。
　
　