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条件 ページ47

ケロッとした顔で言う兄ちゃん。

腰を浮かせて千さんとの間を一人分開けると「Aはここ!」とその隙間に私を座らせた。

「言うなれば取引ですよ。対等のね。」

そういって微笑む千さん。

先程までの夫婦はどこへやら、社長を見る2人の顔に冗談の文字は微塵も浮かんでいない。
八乙女社長は大きなため息をついてから向かい側に座った。

それを見て今度は兄ちゃんが口を開く。

「まず、保護者からの契約条件は2つ!これを飲んでもらえないならAは託しません。」

「…なんだ。」

一呼吸おいてからまた言葉を続ける。

「まず一つは、どんなことからもAを守ること。黒瀬からも、他の権力からも、悪意や苦痛からも。Aに嫌な思いはもうさせないで。
…オレたちだけじゃ、出来ないことだから。」

そう言う兄ちゃんはどこか悔しそうで、膝の上に握られた拳に少しだけ力が入るのが分かった。

千さんは何も言わずに八乙女社長を見つめている。
社長は黙ったまま兄ちゃんの言葉の続きを待っている。

「…それともう一つは、」

言葉を切って、兄ちゃんが私を見る。
目が合うとニコっと笑ってギュッと手を握られる。

「AがAらしく、自由に歌えるようにすること。無理やりや強要は絶対しないで。Aが嫌なことはちゃんと聞いてあげて。決めつけずに話をしてほしい。…それだけ!!」

二ッと社長に歯を見せると、社長は一度目を閉じてから再び開く。

「…分かった。その条件を飲もう。
歌に関してはAの好きなようにすればいい。元からそのつもりだ。」

「え?そうだったの!」

すんなり頷いた社長に兄ちゃんと同様、少し驚いてしまう。
元からそのつもりだったって…見た目だけじゃやっぱ考えてることって分かんないな。

「縛ってしまえば黒瀬と同じになる。…それは避けたいからな。」

眼鏡を手でかけ直して少し苦い顔をする社長は瞬きしてからまた私たちを見た。

「…今度はこちらからだ。歌に関しては好きなようにすればいいと言ったが、出方はこちらから口を出させてもらうぞ。活動方針などもここで決める。…いいな。」

最後の言葉は私を見て。
最初が肝心なのは理解できる。
どう出るかによって、世間も業界も反応が全然違ってくるから。

私の場合は特にそうだ。

たまに活動を休止してた人が数年ぶりに復帰、とかっていうニュースを見るけど、そこで見る印象でそれからのイメージって決まってくるから。

私はどうなるのか。

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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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