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一歩 【百side】 ページ45

『…うん。』

いつの間にか住んでるボロアパートの前まで着いていた。
住んでる部屋には明かりが灯っている。

Aの視線がアパートからオレを向く。

薄暗い中、アパートの部屋から漏れる光を受けて赤とピンクの瞳がオレを見ていた。

『…私、歌いたい。八乙女事務所でも、いい?』

もう決めた、って眼をしてるのにオレに聞いてくるから、笑って頷く。

「決めるのはAだよ。Aが決めたのなら、兄ちゃんは全力で応援する。」

ふにゃっと気が抜けたように笑うA。

えその笑い方初めて見たんだけど!?

「ユキにも言わなくちゃね!」

そう言った途端、何かを思い出したかのようにAの顔が真っ青になる。
視線を明かりの漏れる部屋の窓に移したAは若干震え声で言った。

『…遅くならないようにって……言われてたの、忘れてた……。』

「え。」





―――――
恐る恐る玄関を開けると、不機嫌を隠そうとしないままのユキが待ち構えていた。

「た、ただい――」
「百。A。」

低い声で名前を呼ばれて2人してビクっと肩が跳ねる。

ユキの背後には、すっかり冷めてしまった料理が並んでいた。

チラッと時計を見ると、帰る予定だった時刻を大幅に過ぎている。
とても言い訳のできる空気じゃなくて、ユキが疲れるまで正座をして説教を受けたのはまた別の話…。


その日のうちに名刺の裏に書かれた番号に電話すると、電話相手は今週中に事務所へ来いと言った。


後日、正式にAは八乙女事務所所属になった。





―――――
【Aside】

ガチャ。

「失礼しまーっす!」

勢いよくドアを開けた兄ちゃんに続いて部屋の中に入る。
その後ろから千さん。

『…失礼します。』

「お邪魔します。」

「…なぜRe:valeの千もいるんだ?」

「なぜって…Aの保護者だからに決まってるじゃない。大事な娘を本当に守ってくれる事務所なのか、見極めにね。」

「えっ!Aのパパっ!?…てことは、オレってユキの息子!??」

「あぁ、そうなるね。モモも、いい子にしてるんだよ?」

「パパぁっ!!」

『…はぁ……。』

始まった夫婦漫才…もとい、今日は親子らしい。

いつからか、唐突に始まった千さんと兄ちゃんの夫婦漫才。
どちらもノリノリでやるから、その間に挟まれてしまうと少々対応に困る時が多々ある。

…まぁ2人が楽しいならそれでいいんだけどね。

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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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