【アイナナ】雨上がり、手を伸ばせば。 (ページ8)

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三好早紀ページ8

しせつで暮らし始めて数カ月くらい経った頃、女の人がしせつに来た。

女の人はしせつの人と何か話していた。
しせつの人はとても嬉しそうにしていた。

しせつの人と話しながら女の人が歩いてくる。

私はいつものように、部屋の隅でじっとしていた。
ぼうっとしていたら、その女の人が私の前にしゃがみ込んだ。

強い香水の匂い。

…そういえば、母親も香水の匂いがしてたな。
だからか、香水の匂いは苦手だった。

女の人はじっと私を見ている。
私はぼうっと女の人の顔を見ていた。

綺麗な顔。
だけど、怖いと思った。

「ねぇ、あなた、私と一緒に来ない？」

女の人が言う。

一緒にって、どこへだろう。

私に拒否権は無さそうだ。
チラッとしせつの人を見ると、私と目が合ったと途端嫌そうな顔をした。
ここにいても、意味はないと思った。

だから、頷いた。
女の人は笑うと、立ち上がってしせつの人と何か喋ってからお金を渡していた。

私は女の人に連れられて、車に乗せられた。

「あなたには感謝してるわ。あれぐらいでこんな顔の良い子をくれるなんて。これから、よろしくね。」

女の人は三好早紀〔みよしさき〕という名前らしい。

私にやってもらいたいことがあると。