【アイナナ】雨上がり、手を伸ばせば。 (ページ42)

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残る影響　２　【百side】ページ42

お椀は全部同じだけど、中に入ってるペーストは色が違う。
だけどミキサーにかけられてるだけあって、元が何なのかは全く見当がつかない。

矢島さんが一つ目のお椀をAに渡す。
中身はほんのり赤色だ。

Aがスプーンで少し掬って口に運ぶ。
モグモグしてるけど、ちょっと眉が下がってる。
…赤色からして、もしかしてカラい味だった？

でも、モグモグしてるAの顔、めちゃくちゃかわ……////
って、いかんいかん。ニヤケそう。

「どんな味がしたか書ける？」

矢島さんが差し出した紙に{カラい}と書くA。

あ、やっぱりカラかったんだ。

次は緑色のヤツ。
…小さく黒い粒も入ってる。

これ、絶対にがいじゃん……。A、大丈夫かな…？
Aはまた眉を下げる。

{にがい}

その次はオレンジのヤツ。

{あまい}

全部終わって「ありがとう！」と矢島さんが笑う。
…心なしか矢島さんの眉も少し下がってる？

「次、百くんの番ね。」

「…えっ！？オレもですか！？」

「当然！」と頷く矢島さんに驚きつつも「…わかりました。」と返す。

Aと同じように赤色のペーストから食べる。
………あれ、からくない…というか！

「にっっっっがっ！！！？」

いや、にがいぞこれ！
多分よく罰ゲームであるせんぶり茶よりも苦いんじゃない！？…せんぶり茶まだ飲んだことないけど！！多分これから飲むことになるんだろうけど！！

…ん？でも確かAって{からい}って答えたよな？

にがすぎてからく感じた、とか？ありえそう…わからん。
そう思ってAを見ると、困った表情をしている。

矢島さんはオレのリアクションに笑いつつも次のお椀を渡してくる。
「ドッキリとかしたら絶対百くんっておもしろいよ、バラエティー番組出たら？」と笑い過ぎて涙を流しながら言われた。

…バラエティーか。…いいかも。

次は緑のヤツを食べる。

「……あまい。」

色からは想像できないくらい甘くて美味しい。
次のオレンジのペースト。

「…うっ、すっぱ……。」

匂いはしないのに、酢をぶっかけました、ってくらい酸っぱい。

…全部、Aの答えと違う。

矢島さんを見るといつの間にか真剣な表情になっている。
Aは困った表情のまま。

矢島さんがAに問いかけた。

「…Aちゃん、味、本当に分かった？」

『…………。』

困った表情のまま、Aは首を横に振った。