【アイナナ】雨上がり、手を伸ばせば。 (ページ26)

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一緒に…　【百side】ページ26

「ユキさん、ちょっといいですか？」

寝る前、お風呂上がり(イケメン)のユキさんに声をかけた。

「うん、いいよ。…何？」

布団の上に正座しているオレを見て、ユキさんもオレの前に腰を下ろした。
真正面からじっと見つめられて、一気に顔が熱くなっていくのが分かる。

【うわぁ～～～～～やっぱりめっちゃイケメン！！っいやいや、今はトキメイてる場合じゃなくて！】

落ち着こうと深呼吸をしてもう一度ユキさんに向き直ると、ユキさんはオレの言葉を待っていてくれた。

「…あの、ユキさんに話しておきたいことがあります。」

「うん。」

「…オレ、従妹がいるんです。……柊雨っていいます。子役をしてました。」

「…うん。」

ユキさんは真剣にオレの話すことを聞いていた。
雨のこと、全部話した。
周りの人間に暴力を受けていたことや声が出ないこと、頼れる人が他にいないことも。

雨が目を覚ましたから明日会いに行くつもりだと話したら、僕も行くと言われた。

正直、迷った。
返答に迷っていると、「ダメなの？僕が会いに行ったらダメな理由は？」と聞かれた。

「ダメってわけじゃないんですけど、…傷だらけなんです。」

「……それだけ？」

「え？…はい。」

「なら行く。」

それだけ言って、ユキさんは寝支度を始める。

「えっ、あ、あの！」

「…モモくんの言いたいことは何となく分かった。でも関係のあることじゃないでしょ？モモくんの大事な人なんでしょ？なら僕も会いに行く。」

それに、とユキさんは言葉を続ける。

「モモくんしか頼れる人がいないなら、一緒に住むかもしれないんでしょ？なら顔くらい会わせてよ。」

ユキさんはちょっとだけ微笑んでそう言った。

驚いた。
ユキさんからその考えが出るとは思わなかった。(←あれ、ちょっと酷い？)
ユキさんの方から一緒に住むかも、と言ってくれた。

「…っはい！」

嬉しかった。
抱えていた不安もいつの間にか消えていた。

矢島さんにユキさんも連れて行くと連絡したら、すごい緊張していた。
ユキさん推しらしい。

次の日のレッスン終わり、ユキさんと一緒に病院を訪ねた。