【アイナナ】雨上がり、手を伸ばせば。 (ページ18)

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柊雨　２　【百side】ページ18

ずっと前に、一度だけ窓から見た時から気になっていた。

姉ちゃんも知らなかったみたいだし、両親に聞こうとしても話題を出しただけで話を逸らされてしまう。

テレビでその子が映っているのを見た時はビックリした。
同時に嬉しくもあった。

ひいらぎあめ、ちゃん。
その時に初めて名前を知った。…本名かどうかは分からないけど。

テレビで楽しそうに笑って歌ってるこの子がオレの従妹だってことに、とても誇らしく感じた。

でも家のテレビで雨ちゃんが映ることはほとんどなかったな。
きっと両親が避けてたんだろう。
柊とは縁を切ってるみたいだし。

今まではサッカー、今はRe:valeに忙しくて雨ちゃんのことを考えていなかったけど、その噂を聞いて一気に興味が芽生えた。

入院？でも噂だし……。
……ちょっと心配。

そういえば、雨ちゃんの歌とか出演してるドラマとかほとんど知らないな。
帰ったら調べてみよう。

その日はあまり深く考えずに家に帰った。
帰ってからスマホで雨ちゃんの歌を聴いた。

綺麗な歌声。
子どもっぽさのある、可愛い声。
すぐに好きになった。

だけど、調べてみると確かに雨ちゃんは最近メディア露出が無い。
ネットにもいろんな噂が飛び交っていた。
持病持ちだとか、大御所を怒らせて芸能界から干されただとか、事故で亡くなった…とか。

【いやいや！最後のは絶対無いと思うけど！】

気になるけど、真実を知る手段が無い。
それ以前に、オレと雨ちゃんとは生きてる世界が違う。

ただのごくフツーの一般人であるオレに対して、雨ちゃんは人気者の天才子役！

知りたいけど、知れない。

…うぅ、もどかしい。

結局、考えてもどうにもならないので、柊雨ちゃんについてあれこれ調べるのはそこで止めて気が付いたら眠っていた。

その次のRe:valeのライブで、照明が突然落ちてくる事故が起こった。

バンさんが血塗れで倒れていた。

ユキさんが泣きながらバンさんの名前を叫んでいた。

オレは、何も出来なかった。

目の前が真っ暗になった。