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千パパ ページ21

「ちょ、A待って!手ぇ離さないで!」

『大丈夫だって!…そうそう、首を支えてあげて…うん!上手上手!』

Aに手取り足取り抱き方を教えてもらって、若干震えてる手で眠っている我が子を抱いてみる。
緊張で汗が噴き出る。

「…わ、赤ちゃんって、こんなに体温高いの?」

布越しに伝わる熱に驚き、同時に僕の腕に収まってしまうほど小さな命の存在を強く感じた。
優しいAの匂いと、甘い匂い。
信じられないくらいぷにぷにと柔らかくて、それでいて、たまらなく愛しいと思った。

『そう、だから汗もいっぱいかくよ。いっぱい寝るし、いっぱい泣くし……。…やっぱり千に似てるわ…。』

「いや僕そんな泣かないでしょ。泣き虫はA譲りだよ。」

『千も赤ちゃんの時は泣いてたの!』と言われたけど、それならみんなそうなんじゃないか?
呆れつつ、もう一度腕の中に目を落とす。
A譲りのふわふわとした、まだ生え始めたばかりの髪の毛。
顔立ちは僕に似ている。

『…ほ〜ら、パパだよ〜?ぷるぷる震えながら抱っこしてるのが、あなたのお父さん。』

「しょうがないじゃない!赤ちゃん抱っこするの、初めてなんだから!」

『あはは!ごめんごめん!…でも大丈夫だよ、これからいっぱい抱っこできるでしょ?』

「…うん、そうね。…僕の、…僕たちの子どもだもの。」

そう言葉にするとAが優しく微笑む。

唐突に自分が父親になったんだと実感した。
そしてAは僕の奥さんで、この子の母親で。

隣で嬉しそうに笑っているAも、すやすやと眠っている我が子も、堪らなく愛しい。

「…ありがとう、A。」

『ん〜?急にどうしたの?』

「僕の隣にいてくれて、ありがとう。」

自然と口から出た言葉だった。
感じたことも無いくらいの幸せが胸いっぱいに広がって、泣きたいくらいだった。

「僕は世界一…いや、宇宙一の幸せ者だよ。」

『ふふっ、ちょっと大げさすぎない?』

「本当だもの。」

Aに顔を近付けてキスをする。
そうしたらほんのりとAの頬が染まって、それが可愛くてまたキスをする。

Aと、溶けて混ざって一緒になってしまいたいと思ったことも何度もあるけど、今はそうは思わない。
溶け合ってしまうのもいいけど、僕は僕のままでAを愛していきたい。

それに、これからは僕の腕の中に納まってしまうほどの小さなこの子を見守って、愛していきたいんだ。
それは僕が溶けてしまったら出来ないことだから。

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ぷる - え!?なんなんですか!?(訳 最高です!もうみんな好き…テルさん愛してる… (2020年4月16日 16時) (レス) id: ee7856aff6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年1月25日 17時

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