【アイナナ】短編集 (ページ20)

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百パパ　２ページ20

『今日は保育園でたくさん走り回ったらしいから…。ありがとう、寝かしつけしてくれて。』

「いいってこんくらい。仕事で忙しい時はAに任せっきりだし…何見てたの？」

隣に腰掛けるとAがオレにも見えるように持ってた雑誌を開く。

『Re:valeのインタビューだよ。今度２人が主演のドラマするでしょ？』

「ああ、これか～。配役がめちゃくちゃ豪華なヤツ！あと、ユキがカッコいい！」

『百もカッコいいじゃん！』

少し興奮気味に言ったオレに笑いながらAが言う。
ページには役の衣装を着たオレとユキがアップで写っていて、アクションシーンの写真や撮影裏のことなどが書かれている。

『撮影、結構大変だったんでしょ？無事に済んで良かったよ。お疲れ様！』

甘やかすようにオレの頭を撫でるAに、オレまで子どもになったみたいでちょっと恥ずかしくなる。
照れを誤魔化すように抱きついて一緒に雑誌を覗き込んだ。

Aのにおいが鼻をくすぐって、安心して、心が満たされていく。
幸せだなぁ～…こんなに可愛くて素敵な奥さん、他にいないよ。

「んふふ～…」

『…ちょっと百、ニヤケすぎだって。』

「いいじゃん！誰も見てないし！幸せ過ぎてニヤケちゃうの！！」

それからそのドラマのことや次のライブのことや、子どもたちのことやいろいろ話して、気が付けば夜も深まっていた。

『…そろそろ寝よっか。明日は早いの？』

「ん～…ちょっと遅くなるかも。ライブの打ち合わせがあるから、」

『…そっか。』

ちょっとだけシュンとなるA。
仕方ないのはお互い分かっているけど、やっぱり一緒にいる時間が短くなるのは寂しい。

「…その分、今いちゃいちゃしよっ！！」

『へっ！？』

止められる前に押し倒してキスをする。
抱きしめて、キスして、じゃれあって…。
さすがに明日も朝から仕事だし、この先をするわけにもいかないけど…その分いっぱいキスする！！

『っ、ふ、あはは！くすぐったいって！』

「え～、気持ちいの間違いじゃない？」

『くすぐったい！…ワンちゃんみたいだね、百って、』

「う～～ワンッ！！」

耳に甘噛みするとちょっと慌てるA。
耳弱くても止めてやんないからね！

『ちょ…おしまい！！もう寝ないと寝不足になるよ！』

「っはは、はいはい、分かったにゃ～！」

『…犬か猫かどっちかにしないの？』

「犬って言ったのAじゃん！」

それから笑いあっておやすみを言う。
明日もいい日でありますように！