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それから何度か片手で数えるほどだが、総監の娘さんと会った。
最初の印象は良くないものの、育ちが良いのもあり、彼女と会うのが苦になることは無かった。

しかし、それでも彼女と暮らしていけるとは到底思えなかった。
彼女が見ているのは降谷零ではなく、安室透だ。
最初に見せた顔がそっちだったので元に戻すことも出来ずにずっとそのまま。

そんな相手と、どう考えても結婚など出来やしない。

このままだらだらと関係を続けていくのか…。
気に病む程ではないが、それなりに迷っていた。
元々結婚する気がなかったのだから、総監の言う通り後ろ盾のない俺にはもってこいの縁談。

彼女と話す時は安室透ではあるが、その仮面を被っていたら随分と雰囲気はよく、結婚も悪い話では無い気がする。


そんなふうに考えるようになってから、少しずつ彼女とも関係を築いていって、総監も安心したのだろう。何も言わないようになっていた。

そんな中、心惹かれる人などもう出来ないと思っていたころ、俺は『彼女』に出会ってしまった。









「降谷くん。娘はああ言っているが、君が最近全然連絡取れないことを気に病んでいてね。
私が言うことではないだろうが、少しは気にかけてやってくれ」

食事も終わって、帰路につこうとしていた最中。
総監は小声で俺に釘を刺しに来た。

「それは、大変申し訳ないと思っています。言い訳になりますが大きな仕事を抱えていたもので…」
「この間重症を負ったと聞いたが、傷はもう大丈夫なのかね?」
「はい、お陰様で。」
「そうか……よっぽど良い腕の医者だったんだろうな」

そう穏やかに笑って言った総監の目は、笑っていなかった。
勘づいているのか、ただ不安視しているだけなのか。

「わかっているとは思うが、降谷くん。娘も私も君を好いているんだよ。
……1度決めたことだろう、失望させないでくれよ」


何もかも見通したようなその言葉は、俺の想いに蓋をし鎖をかけるには十分だった。

*揺れる→←*



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てる(プロフ) - __ne_mU_さん» ありがとうございます!更新のんびり過ぎますがお付き合いくださると嬉しいです! (2019年10月14日 22時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
__ne_mU_(プロフ) - 前作を今日初めて読み夢中でこちらまできちゃいました!降谷さんかっこいい、、すき、、更新楽しみにしてます! (2018年12月15日 21時) (レス) id: 4f8346dfa1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てる | 作成日時:2018年12月13日 0時

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