＊第１５５話＊ ページ32
何十年かに1度の式典ということもあり、ウィスタル城にはたくさんの人で溢れていた。
一際、人々の歓声が高まった先には、このクラリネス王国の王…イザナと、王子…ゼンが姿があった。
「流石と言うべきか……凄い歓声ですね、兄上」
顔に完璧な笑顔を浮かべたまま、静かに呟くゼン。
「あぁ。大事な式典だとはいえ、この後にあの人の中通るのは気が乗らないな」
そう答えるイザナの視線の先には、人々が押し寄せる所に兵達が押しのけて作ったような花道が広がっている。
そこを通ることになっている2人は、気づかれないように肩を落とした。
「兄上が陛下になってまだ一年ですからね」
「お前目当ての方が多いだろうけどな」
お互いに言い合いながらも、笑顔だけは絶やさずに進む。
「刺客が狙うには絶好のチャンスだな」
「確かにそうですが、万が一にもその心配は無さそうですね」
ゼンはチラリと後ろに視線をやる。
その視線に、頼もしく礼をするミツヒデ。
この国に、この男以上の剣の使い手などいるだろうか……探しても王都には存在しないことだけは確かだ。
木々もついている今、最強の護衛と共に、人々の歓声の中へと足を進めた。
、
、
「……貴女達にとって………この国は、どんな国？」
さぁ……と風が流れる音が耳元を掠める。
それはどこか自分自身への問いかけのようで、はたまた、ただの好奇心のようなもので、
急な問いだったが、白雪の答えは、決まっているようだった。
、
「大切な人と……出会えた国です」
ゼンと出会えた国。私の世界が広がった国。大切な人が住まう……大切な国。
そう答えると、女の人はこっちを見て少しだけ驚いた顔をしたあと、ふわりと笑った。
とても綺麗な笑顔だった。
そして、何も言わず………わたしの髪の毛を掬うようにクシャリと撫でる。
何かが心にストンと落ちた。
「………あ、れ？」
その瞬間、何かの既視感に囚われる。
どこか懐かしいその感触に戸惑っていると、ふと青々とした緑色が目の前を過ぎった。
だが、もう既に、女は静かにその場を離れた後だった。
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てる(プロフ) - 響さん» 響さん！コメント毎回ありがとうございます！すごく励みになっております！駄作な文章ですが楽しんでいただけてなによりです！ありがとうございます！ (2018年12月11日 23時) (
レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
響(プロフ) - 診療所へようこそ、から来ました。てるさんの作品すごく好きです、、、つい一気読みしてしまいました！！切なくて、でも最後はハッピーエンドですごく素敵な作品でした、ありがとうございます…！！！！ (2018年12月10日 22時) (レス) id: 3701a0a282 (このIDを非表示/違反報告)
てる(プロフ) - 肴さん» そう言っていただきとても嬉しいです！ありがとうございます！ (2018年6月10日 12時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
肴(プロフ) - 最初からすごく好きでずっと読んでました！！！事情によりコメントも投票もお気に入り追加もできなかったですが本当に感動しました！！ (2018年6月8日 19時) (レス) id: b8d7cc9c7d (このIDを非表示/違反報告)
てる(プロフ) - anao10さん» 長々と続いてしまったのに、最後までありがとうございました！読んでくださる方が居てくれるからこそ、とても楽しく書くことが出来ました！あまり納得できない最終話だったので、後日談書くかも知れません(笑)その時はまた読みに来てください〜 (2018年4月3日 20時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：てる | 作成日時：2016年11月2日 21時
