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*第144話* お願い ページ21

一族の長となり、小さな世継ぎを授かった女は、それはもう…その赤ん坊を大事に大事に育てた。

だが、その女に変化が現れるのにそう時間はかからなかった。


皆が寝静まった夜中……

女は1人、夜の森をさまよった。その目には光がなく、まるで何かに操られて動く人形のように見えた。

そして、あるところで立ち止まり、毎晩毎晩、禁じられた術を使い続けた。
それは、憎悪を込めて祈り続けると、相手を呪い殺せるという、一族の長になる者にしか使えない術だった。

しかも、その呪いを向けられていた相手はその女の世継ぎである少女だったのだった。
それに気づいた老婆は、やっとその女を殺す決心がついた。



しかし、今現在、一族の長である女に力では敵わない。
かといって、皆にこのことを話すことも出来ない。
話したところで、皆が知っている女の姿は優しい一族の長…殺すことなど出来るわけがない。

そんな酷な思いはして欲しくなかった。





ならば……。



一族以外の大きな力に頼るしかない。




老婆の心は決まった。



サディル族と並ぶほどの力を持っているといえば、クラリネス王国の軍のみ…

老婆は姿を変え、王直属の女官となった。




そして、真実をその王にのみ話し、協力を仰いだ。
だがいくら王といえ、サディル族の力から自分の国の者達を守る責任があり、サディル族の長のみを殺すなどという器用なことは出来まい。
他のものを殺すことになってもいいのなら、と王は言った。


老婆は悩んだ。だが、一族の存命のためには青い瞳の少女を失うわけにはいかない。

心を殺し、王の前で膝をついた。




「この老いぼれめの命をかけて、お願いします申し上げます。この一族の希望を、何に変えてもお守りください」













その言葉に、王はしっかりと頷き、

















「クラリネス王家の誇りにかけても、“アトリア姫”は私が守ろう……。心配することは無いさ、ハルカ」














そう答えたのであった。

*第145話* 結局→←*第143話* 運命とやら



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てる(プロフ) - 響さん» 響さん!コメント毎回ありがとうございます!すごく励みになっております!駄作な文章ですが楽しんでいただけてなによりです!ありがとうございます! (2018年12月11日 23時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 診療所へようこそ、から来ました。てるさんの作品すごく好きです、、、つい一気読みしてしまいました!!切なくて、でも最後はハッピーエンドですごく素敵な作品でした、ありがとうございます…!!!! (2018年12月10日 22時) (レス) id: 3701a0a282 (このIDを非表示/違反報告)
てる(プロフ) - 肴さん» そう言っていただきとても嬉しいです!ありがとうございます! (2018年6月10日 12時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 最初からすごく好きでずっと読んでました!!!事情によりコメントも投票もお気に入り追加もできなかったですが本当に感動しました!! (2018年6月8日 19時) (レス) id: b8d7cc9c7d (このIDを非表示/違反報告)
てる(プロフ) - anao10さん» 長々と続いてしまったのに、最後までありがとうございました!読んでくださる方が居てくれるからこそ、とても楽しく書くことが出来ました!あまり納得できない最終話だったので、後日談書くかも知れません(笑)その時はまた読みに来てください〜 (2018年4月3日 20時) (レス) id: 1a0e49df6a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:てる | 作成日時:2016年11月2日 21時

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