紅一点のプロ根性 ページ27
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確かにここまで頑張って作り上げてきたライブ。
あとは本番で練習の成果を発揮するだけ。
ただ、精神状態の安定していない、体調の悪いような人間が無理して出ればファンの方は不安になってしまうに違いない。ステージ上で倒れたりしたら大惨事だ。
それなら潔く欠席というのもひとつの手だ。もちろんバンドなどに影響が出るのでおすすめはできないが。
今の木村は、欠席という選択肢も出てくるくらいピンチだった。
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『…あと何分?』
嶺「15分」
『やば、着替えないと…』
嶺「ダメ。顔色悪すぎるからもうちょっと落ち着くまでじっとしてて」
中村はそう言って木村を優しく抱きしめた。
男女の…というよりは、母親が子供をあやすような感じ。
木村を落ち着かせるようにリズム良く背中をとんとんと叩く。
『子供扱いしないでよ…うぅ…』
嶺「実際こうしないと落ち着かないでしょ?(笑)」
『そう、だけどさぁ…』
5分ほど中村に抱きしめられたままあやされて、やっと気分が落ち着いた木村はようやくいつもの元気な状態に戻った。
せっかくの化粧は落ちてしまったが、顔色も戻り、不安もかなり打ち消されたらしく、ずるずると鼻をすすりながら
『よっしゃ!!!きむちゃん復活だぞ!!!!!』
と笑っていた。
本当はまだ不安でいっぱいだったが、メンバーやスタッフを安心させるためには少しくらい無理をしないといけない。
そして本番。さっきまで大粒の涙を流していたとは思えないような明るい表情で歌って踊り、不安や焦りは一切見せずにアイドルを全力で楽しんでいた。
中村のおかげで元気が出た木村は、リハーサルで中々上手くいかなかったスケボーのパフォーマンスも全て成功し、無事全公演を終えることが出来た。
木村のはっきりとしたスイッチの切り替えのおかげでファンの人達には心配をかけることもなく、普段通りの木村Aとしてパフォーマンスを全力でやり遂げ、純粋に楽しんでもらえたらしい。
それをマネージャーから聞いた木村は、安心したように眉を下げて笑っていたらしい。
『いや〜、嶺亜の力は偉大だね』
嶺「感謝してよ?」
『その言い方はめちゃくちゃ腹立つけどな』
嶺「ごめんごめん (笑) でも本当は俺もめちゃくちゃ焦ってたからね?」
『あ、まじ?なんかごめん (笑)』
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美紀 - 7MEN侍大好きです嶺亜君と琳寧君寄りのオール担当です最高ですコロナウイルスと熱中症に気をつけてくださいね (2020年7月9日 20時) (レス) id: 8204dae0fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅漬け | 作成日時:2020年5月10日 3時