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やはり今日も佐々木は昼休み以外ずっと寝ていた。
昼休みになると起きてふらっとどこかへ行っていたけど、昼休みが終わる直前に帰ってきてまた机に突っ伏してしまった。
これじゃあ寝るために学校に来ているようなものだ。色々と無駄なだけ。
そして俺の願いも叶うことはなく、気がついた時には放課後になっていた。
クラスメイトは高校ラストの年を楽しむ人と、受験勉強に励む人とではっきり別れていて、前者の奴らは全員「カラオケでも行く？」とかなんとか言いながらそそくさと教室から出ていった。ちなみに俺は後者。
阿部先生に残れと言われた俺たち2人は、教室から人が居なくなるまでひたすら待たされていた。
その間、俺たちのいる空間だけ微妙な空気が流れていた。
「A、お前今日から放課後は本高と勉強会な」
「え、なんでよ」
「次のテスト赤点多かったら卒業危ういぞ」
「…まじ？」
「まじ。あと言葉遣い気をつけて」
「阿部ちゃんも私に対しては口悪いじゃん」
「…確かに (笑)」
俺たち2人と阿部先生だけになった教室は人がいないからか、いつもより少しだけ広い気がした。
肝心の佐々木本人は、事を説明し始めた阿部先生を嫌そうな目で見ながら適当に返事をしていた。
佐々木は他の生徒がいないからか、朝話したときよりも少し声のトーンが明るくて生き生きとしていた。
そして阿部先生も、いつもは「佐々木」と呼んでいるはずが、今は下の名前で呼んでいた。
佐々木も先生のことを「阿部ちゃん」と呼んでいて、2人は結構親しいという事がわかった。
俺は普段とは全然テンションの違う佐々木の姿に終始驚きが隠せなかったけど。
「…生徒会長、顔 (笑)」
「…え？あぁ、ごめん」
会話に置いていかれていた俺は口をぽかんと開けて2人の方を見ていたらしく、佐々木はクスクスと俺を馬鹿にするように笑っていた。
阿部先生も笑いながら「Aも本当はこんな感じで元気なやつだからさ、嫌わないでやってよ」なんて言うので、本当は佐々木も悪い奴ではないのかな…なんて心が揺らいでいた。
なんせ、彼女が阿部先生に見せる屈託のない笑顔には嘘はないように見えたから。
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作者名：浅漬け | 作成日時：2020年5月25日 17時
