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ppppp…
いつも通りアラームの音で目を覚ます。
よし、ピッタリ5時30分。今日もいい目覚め。
枕元に置いてある眼鏡をそっとかけて外に目を向ければちょうど朝日が上り始めた所らしく、太陽の光がカーテンの隙間から差し込んできて心地よい明るさだった。
部屋着を脱ぎ、丁寧にアイロンがけされたワイシャツに腕を通す。もちろんボタンは第1までしっかりと閉めて。
緑と紺のオシャレとは言い難いネクタイをきっちりと付ければジャケットと鞄を持って下に降りた。
周りの人間は朝起きるのが苦手で制服を着替える行為でさえ嫌だと言っているが、俺はそう感じたことはない。
むしろ、こんな当たり前のことを毎日続けられることが幸せだ、と感じる。
周りの人間はみんな俺を特殊だと言う。自分でも周りと違うということは薄々気づいている。別に俺は特殊でもいい。
「おはよう兄ちゃん」
「おはよう。父さんも母さんも」
下に降りれば家族全員もう起きていたらしく、今日は俺が1番最後だった。
母親はキッチンに立って朝ごはんの準備を進めている。父親は新聞とにらめっこ、弟はソファに座って朝のワイドショーに釘付け。毎朝変わらないこの光景が俺は好きだったりする。
弟の横に座ってテレビに目を向けると、今流行りのアイドルが最新のスイーツをリポートしていた。甘ったるそうなその見た目は残念ながら俺には美味しそうには見えなかった。
「それじゃあ朝ごはんにしましょうか」
20分ほどテレビを見ていると、母親が少し声を張ってそう言った。父親は新聞を机に置いて、弟もテレビを消してあっという間に集まった。昔からこの家は母親がいちばん強いような気がする。
「克樹、この前テストがあったんだって？結果はどうだったんだ」
「国語以外満点で学年1位だったよ」
「そうか、次も順位を落とさないように頑張れよ」
「うん」
父親は会社を俺に継がせるらしく、俺だけに厳しい。レールを敷かれた人生なんて楽しくないでしょ、なんて言う人もいるだろうけど、俺は決められている方が楽だと思う。
もちろんテストは毎回学年トップ。完璧主義な俺はどうしても満点を取らないと気が済まない。
特に今回は国語で97点を取ってしまったのでかなり悔しい。前回は全教科満点だったのに。
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作者名：浅漬け | 作成日時：2020年5月25日 17時
