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しかし、私はその言葉を素直に受け取ることが出来なかった。


『だって私、皆を騙したんだ。きっと、心の中では私なんて殺してやるって思ってる刀剣男士がいるだろう?そうなら早めに殺ってくれ、だって「あるじさんのわからずや!!!」


出そうになった言葉は、乱の叫びで腹の中へ戻された。


「そんな奴誰もいないよ、あるじさんがボクらに優しくしてくれたこと、それを思い返せば誰だって考えを改めるよ。」


刀剣男士達が頷いた。


それの姿を見て、私の目からじわじわと涙が出てくるのがわかる。


「だから…もう男装しなくていいんだよ。口調も無理しなくていい、わざわざ低い声出そうとしなくたっていいんだ。もちろん、お風呂も好きな時間に入ってよ。」


と、乱は続けた。


私は兄の本丸で、いつバレるかわからないからお風呂だって好きな時間に入れない、と言ったのを思い出した。


『で…も、』


急に良いと言われても、上手く言葉が出てこない。


すると、


「主、僕と話す時と同じようにして」


ここまで、私をぎゅっと抱きしめ、支えてくれていた光忠がアドバイスをくれた。


『私、これからも頑張るから。みんなのこと大好きだから。また、仲良くしてくれる、かな?……こんな、感じ?』


恐る恐る刀剣男士達の方へ目を向けると、彼らは微笑んでいてくれた。


ぱちりと、薬研と目が合った。


「大将、随分と可愛らしい声ををしていたんだな」


彼はそんな風に褒めてくれた。


しかし、


「今日は記念すべき日だよ!!宴をやるしかないでしょーー!!!酒を持ってこーい!!!」


薬研の褒め言葉はほぼ次郎さんの声に掻き消されていた。





――

次郎さんが言い出したこの宴は、何時間経っても終わらなかった。


「前々から可愛らしい顔をした男だと思ってたが、女の服を着るとまた一段となぁ!」


『…日本号、お酒飲みすぎだよ』


私は、可愛らしい女物の和服に着替えさせられた。


乱と一期が、今まで我慢した分女の子らしい格好をしなければ!と意気込んでしまったためだ。


髪は清光が、女の子は髪が一番なんだからさ!!と綺麗にまとめてくれた。


頭から爪先まで至れり尽くせり、といったところだ。


しかし、私はこの宴を心から楽しめていなかった。


鶴丸国永の姿が何処にも見当たらないのだ。

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テラリウム(プロフ) - みなつきさん» 返信大変遅くなりました。好きと言って頂けてとても嬉しいです、完結までお付き合い頂き有難うございました! (2019年3月24日 2時) (レス) id: df9ed6c4dd (このIDを非表示/違反報告)
みなつき(プロフ) - 続編ありがとうございます!!このお話、とっても好きだったので!うれしいです! (2018年3月31日 17時) (レス) id: e9d1f159c4 (このIDを非表示/違反報告)
テラリウム(プロフ) - クルトンさん» コメント有難うございます!終わり…なんです(;_;)次回作、少し間が空くとは思いますが書くつもりでいるので、お待ちください(^^) (2018年3月29日 8時) (レス) id: 20aaa1ddde (このIDを非表示/違反報告)
クルトン(プロフ) - お、終わり....何ですかぁぁぁ!スッっっごく面白かったです!次も....作品作りますよね!?いや、作ってください!!これからも応援してます! (2018年3月28日 16時) (レス) id: 4cc1bb6772 (このIDを非表示/違反報告)
テラリウム(プロフ) - みなつきさん» コメント有難うございます!そのように言っていただけて、とても嬉しいです。完結までもう少しお付き合い下さい^^ (2018年3月27日 13時) (レス) id: 20aaa1ddde (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テラリウム | 作成日時:2017年11月5日 19時

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