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何でAが倒れたのかも分からない。
状況なんて説明できない。
突然倒れた。
理由は不明。
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処置室の扉が開いて、看護師がこちらへ歩いてきた。
固唾を呑んで一挙一動を見守る。
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「Aさんの意識が戻りました」
呼吸の仕方が分からなくなった。
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泣きじゃくる親父さん。
ママさんもハンカチを目元に持っていく。
俺も、やっと息を吐き出せた。
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「医師の方から説明がありますので、少々お待ちください」
看護師と入れ替わるようにして奥から医師らしき人が歩いて来た。
親父さんを見ながら、「お父様ですか」と尋ねる。
父「そうです。先生、意識が戻ったというのは本当ですか」
「はい。…しかし、」
ここでの逆接。
智はぴくりとも動かず、生気のない目で先生をジッと見つめる。
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「Aさんも、お腹の中の赤ちゃんも危険な状態です」
「現時点で母子共々の命を助けることが困難となっています」
まただ。
また呼吸の仕方が分からなくなる。
医師が何を言ってるのかさえ理解に苦しむ。
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父「娘か、赤ちゃんか…ということですか」
「…最善は尽くします。しかし覚悟はして頂きたい」
それは突然突きつけられた、過酷な決断。
「現在もAさんは体力を消耗しています。救う確率を上げるためにも迅速な判断をお願い致したい」
そう言って医師は処置室へ戻っていった。
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智…お前…どうすんの。
俺には決定権など存在しない。
でも、お前は旦那なんだから。
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父「智くん」
智「…はい」
父「君はどう考えてる」
智「…まだ受け入れられてない…といいますか」
父「そんな悠長なこと言っていると2人とも助からない」
親父さん、分かってんすよ。
分かってるけど…さ。
ここまでの責任って感じたことない。
重くて口が開けない。
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智「お義父さんは…どうお考えですか」
父「…私は娘が大事だ。世界一大事だ」
智「…」
父「…だから、娘の判断に任せたい」
智「…」
マジかよ。
…なあ、智。
お前が何か言わないと
殺されるぞ。
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苦渋の決断ってことは百も承知。
パパになれば最愛の嫁を失う。
嫁を選べばパパになる権利が消失する。
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でも俺なんとなくお前の考え分かるよ。
てか、こっちしかないだろ。
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智「…俺は、」
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智「Aに生きてほしいです」
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…だよな。
お前ならそう言うと思った。
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チェリー(プロフ) - 汐音ちゃんがどんな風に育つのかがとっても気になります！この作品はお山のてっぺんから見させていただいていて、他にも、ふたまたさとしなども、本当に大好きな作品です！！また、ちおさんの作品まってます！長編作、お疲れさまでございました！！ (2018年3月10日 10時) (
レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
チェリー(プロフ) - 完結おめでとうございます！！んもーーーーー、本当に！良かった！！の一言です笑 主人公が亡くなってしまってからの智くんの気持ちが痛いほど伝わる書き方、本当に素晴らしいなと思いました！夢で良かった。本当に。 (2018年3月10日 10時) (レス) id: a0fb27e534 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - うぴさん» 夢でした！夢の中で得た経験を現実世界でも発揮してくれると思います(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - ちはるさん» ファンだなんて…嬉しいお言葉をありがとうございます！今回の更新で完結となりました。最後まで読んで頂けると幸いです。 (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
ちお(プロフ) - すりおろし梨。さん» 智くん自身、未だに現実と夢の区別がつかなくなることもあるみたいですが…、夢というオチでした(^^) (2018年3月9日 16時) (レス) id: 06dd6ecca4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちお
| 作成日時：2017年12月30日 17時
