認めたくない ページ50
楽屋を後にし、車に乗り込むと
仕切りに時間を気にしている雄島さん。
『さっきから時計ばかり見てどうかしたんですか？』
雄島「んー。ちょっと寄りたいところがあってね」
『え、寄りたいところって…？』
雄島「それは着いてからのお楽しみ」
『ちょっ！ちゃんと家に帰してくださいよ』
いたずらっ子のような笑みを浮かべた雄島さんに
ついドキッとしてしまった。
連れてこられたのは…ん？埠頭？
片腕に何やらのバックを下げた雄島さんに
手を引かれるままついていく。
雄島「間に合った」
雄島さんはテキパキと
バックから折りたたみベンチを出して
私に座るように促した。
雄島「ちょっと冷えるな」
『風冷たい…で、何かのイベントですか？』
雄島「うん。じゃあ、こうしてよっか。
もうすぐだから」
雄島さんはブランケットに包まり、
そして後ろから私を抱き締めてきた。
『ちょっと！やだ、近いです！』
抜け出そうとしても
抱擁が強くて身動き取れない。
雄島「大丈夫。ここは誰も来ないから」
『そういう問題じゃな…ひゃぅっ！』
雄島「かわいい」
抗議の途中にうなじにキスをされて
漏れた声の恥ずかしさと
自分の中の矛盾に爆発しそうだ。
何が断固拒否。
雄島さんを告訴する、なんて虚勢をはってた自分は
実際この人を前になんも有言実行できてない。
流されてばかりだ。
『もうほんとにやめて…！』
雄島「え？泣いてる？…ごめん。調子乗りすぎた」
『泣いてないです！
でも、もう嫌なんです！』
雄島「そんなに僕のこと嫌い？」
『嫌いです！雄島さんも！自分自身も！』
雄島「それって…どういう？」
『私は何度も言いますけど、
彼氏なんて望んでないし、
恋愛なんてしたくないんですって！』
雄島「でも…僕に落ちてくれたんだ？」
『落ちてないです！』
雄島「そっか」
そっか…？何その返答。なんて思っていると
雄島さんが私の身体をひょいと持ち上げて
自分の太ももに座らせた。
『ちょっと！！何するんですか！降ろして！』
雄島「…もうすぐだから、ね、このままで」
『何が？』
ひゅ〜〜〜どーーーーん！！！！！
どうやら隣町で花火大会だったらしい。
距離はあるけど周りに何もないからよく見える。
『うわぁ、綺麗』
雄島「僕は花火より
涼宮さんの方がもっと綺麗だと思うよ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 16人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こちいこ(プロフ) - みはるさん» みはる様、コメントありがとうございます！需要ないと思いながら書き始めたので嬉しいです。なるべく更新止めないように頑張ります！ (2021年8月7日 16時) (
レス) id: a9b3fdfb3a (このIDを非表示/違反報告)
みはる - 初めまして。このお話面白いです！続き楽しみにしてます！更新頑張ってください。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 5d16bd346f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちいこ | 作成日時：2021年7月25日 20時
