結婚相手募集され中 《サバイバルウェディング》

距離感の難しさ ページ21

柏木社長「そうか。
くれぐれもよろしく頼むよ。
祐一、しっかりやれよ」



柏木「はい。
では、川村さんはここで退場なさるそうなので、
僕も出ます」



「すみません、柏木社長、最後に一点だけ…
先程、このパーティーで
ちょっと揉め事がありまして、
柏木さんに助けて頂いたんですが。
たまたまお会いして
外のベンチに座っているところを
カメラマンに撮られています。
…その写真が出回るとは思えないですし、
座って話をしていただけなので
仮に出ても問題ないかと思いますが、
変な騒ぎになりかねません。
その辺り、私たちは仕事上の関係だけだと、
社長にお伝えしておきます」



柏木社長「そうか。
まあ、こちらとしては祐一と
プライベートでも親しくしてもらえると
有難いが。
何にしろ、君たちの立場は誤解が生じやすい。
今後、気をつけるように」


「かしこまりました。
お忙しい中、ありがとうございました。
これにて、私は退場致します」









退場後

柏木さんは車で来ていたらしい…
てっきりタクシーだと思っていたのに


柏木「すみません。
これ僕の車じゃないんですが、どうぞ…」


「あ、お父様のお車なんですか？
…こちらこそ…失礼します」



車に乗り込む

柏木「これは家の車なんです。
パーティーとかに行く時は
これを乗るよう、父から言われていて…。
僕の車は大した車じゃないので、
見られる場所にそれで来られるのは
嫌なんでしょう」



「同じようなものです。
私もパーティーなどはそれこそ、
身なり、身なりに気を使えって
言われ続けています。
私はドレスを着るようなタイプじゃ
ないんですけどね」



柏木「そんなことないですよ。
今日もとてもお綺麗です」


「…柏木さんて、本当に上手ですね」


柏木「いや、そこは本心ですよ。
すぐに川村さんだ、ってわかりましたし」


「ふふ、ありがとうございます。
…あの、今日の柏木さんとの写真、
出回らないとは限らないですよね…。
騒ぎになったから、それ自体も
マスコミが騒ぎそうですし。
私たちの仕事に響かないと良いんですが、
ご迷惑をおかけしちゃうかもしれません。
…もしそうなったら、
落ち着くまで担当を栗原さんにお願いしたり、
2人きりにならないようにしたり、
対策しましょうか」



柏木「…そう、ですね…」



「あ、送って頂いているのにこんな話。
ごめんなさい…」



柏木「あ、いえ。
…今日のパーティーには、その、
良さそうな方はいなかったんですか？」

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