Night Doctor 夜の闘い⑵ (ページ5)

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Ep.54 ページ5

それから数日後のこと

朝倉「腸閉塞の小池さん、経過どうなりました？」

朝倉先生が成瀬先生に聞くと、

成瀬「カルテ見ろ」

間髪入れずにぶっきらぼうな返答をする成瀬先生。

そして、無言で成瀬先生を睨みつける朝倉先生。

空気の悪さに目を丸くしていたら、

桜庭「Aちゃん、ちょっとこっち」

桜庭先生に呼ばれてstaff stationを出ると、
高岡先生、桜庭先生、深澤先生の3人が。

桜庭「ねぇ、2人なんかあったの？」

深澤「へっ？」

高岡「さーぁ？」

『私も知らない』

すると、ホットコールが鳴って患者が運ばれてくる。

成瀬先生か思うところがあるらしく、
深澤先生はじめ、手際の悪さが見えたり
処置、判断が難しくて戸惑っていたりすると、
片っ端から私たちの元にやってきて

全てひとりで処置し始めたのだ。

やり方を教えるのではなく、
「あとは俺がやる」「代われ」

上からの物言いにメンバーが顔を見合わせる。

私でさえも、
脳は俺がやった方が正確だからって言われて、
どかされたのはかなりショックだったんだけど、

それよりも、
夜勤明けはもっと辛かった。

風斗の容態が急変したから。

意識障害を起こして
自ら命を絶とうとしたんだって。

　

最近は頻繁にせん妄や幻聴の症状が出ていたし、
家族はついに余命宣告をされることになった。

その時が近いことは予測出来ていたことだけど、
残された時間をどう過ごすのか、
改めて風斗の家族と決めなくちゃいけなくて。

数ヶ月前に風斗に結婚して欲しいと言われたあの日、
すぐに婚姻届をもらってきて
籍を入れるべきだったのだろうか。

こうなることくらい分かっていたのに、
風斗の体調が悪化すればするほど、
結婚という一大イベントの準備を
始めなかったことが悔やまれて。

それでも、
隣で泣きじゃくる風斗のお母さんを見たら
弱音を吐いてはいられなかった。