Ep.5 ページ6
患者の側で喋っている２人に声をかける。
『深澤先生、桜庭先生、
重野さんのご家族とは連絡ついたんだよね？』
深澤「深夜だし…まだ」
桜庭「繋がらなかったって聞いて」
『留守電は入れましたか？』
深澤「いや、迷惑かと思って」
『え？？何が迷惑なんですか？
あの患者さんは
朝を迎えられない可能性もあるし、
このまま一生、
目を覚さない可能性もあるんですよ。
家族への連絡もすごく大切な業務です。
あなたの家族が重体なのに
知らなかったらどう思うんですか？
よく考えてみてください』
私は急いで電話の前に向かったけど、
椅子に座ってから一回深呼吸した。
だって今のは完全に八つ当たりだった。
深澤先生がやってくれていないこともそうだけど、
自分が無力ゆえに
重野さんを助けられないかもしれない、
そういう不安もあったから。
これから家族に電話をするのに
ヒートアップした状態で
まくし立てるわけにはいかない。
一報を入れたら当然取り乱す家族に
冷静にわかりやすく伝えるのも医者の仕事だから。
.
.
家族や彼女、友達にかけて
留守電になる人にはメッセージを入れて
繋がらない人には何度も着信を入れる。
.
途中、朝倉先生が変わると言ってくれたので
私は患者の様子を見に行くことにした。
本来なら私が業務を頼んだ人が
責任を感じて代わるべきだと思うけどね。
…まぁ、今日は目をつぶろう。
.
.
朝方近く、朝倉先生が報告にきた。
朝倉「いま、地元の友達に繋がった。
重野さんは半年前に、
勤めてた地元の飲食店が経営難で倒産したらしくて。
少しでもはやく彼女と結婚したいからって
昼間に終活して、夜に警備員のバイト。
それでやっと
新しい就職先が見つかったところだったって。」
『そっか。とにかくなんとか家族と彼女にも
連絡が繋がると良いんだけど…』
深澤「それでなんでこんな…」
『え？』
深澤「いや、これからって時なのに
その結果がこれって…あんまりだろ」
『ちょっと深澤先生、』
朝倉「その結果？それってどの結果？
生きようとしている人の前で
悲観すること言わないで」
成瀬「お前がただ生かしたかっただけだろ。
この患者、目を覚ましたとして、
自分の状況知ったらどう思うんだろうな」
『成瀬先生、それは処置をした私が
誠心誠意、説明します。
この場ではもうその話は終わりにしましょう』
成瀬「朝が来た。交代の時間だ」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 235人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こちいこ(プロフ) - ゆかりさん» ゆかり様 コメントありがとうございます。なかなか物語が進められず…オリジナル感もなくって感じですけど、引き続き楽しんでもらえたら嬉しいです。 (2021年8月24日 16時) (
レス) id: a9b3fdfb3a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年8月24日 15時) (レス) id: 546ce68c7d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こちいこ | 作成日時：2021年8月16日 8時
