Ep.41 ページ42
本郷「柚月先生が言った通り、
お父さんが亡くなって困るのは
お父さんじゃない、残された君だ。
君たち家族には最低限、幸せになる権利がある。
それを守る制度もある」
息子「でも父さんが…
生活保護だけは受けたくないって。
家を手放すくらいなら死んだ方がマシだって」
私はそのセリフにちょっとだけカチンときた。
息子くんの説得は本郷先生たちに任せて、
下田さんの元へ。
ようやく鎮静剤が切れて起きる頃だろう。
『下田さん、聞こえますか？』
下田「…ん。なんですか。
もう、早く帰らしてください」
『…起きたばかりですみません。
ちょっとお話しいいですか？』
下田「また手術の話ですか？
聞きたくないです」
『いえ、違います。
しんごくんから色々聞きました。
無保険で生活保護を受けていない理由も』
下田「だったら、
手術ができないことくらい理解できるだろ」
『１つだけ理解ができないことがあるので
確認しにきました』
下田「あ？、なんだ？」
『生活保護を受けないのは
大切なおうちを失いたくないから。
奥様との思い出の場所をなくしたくないからだと
聞きました。
家を手放すくらいなら死んだ方がマシだと』
下田「だからなんだ。
妻を亡くした悲しみが君にはわかるまい」
『ええ、わかりません。
奥様とあなたにとっての
１番の思い出がおうちですか？』
下田「だからそう言っているだろ」
『いいえ、きっと違うはず。
１番の思い出であり、宝物は
しんごくんではないでしょうか』
下田「んっ、あ、当たり前だ！
何をそんな分かりきったこと…！」
『では、しんごくんが大切な存在であるならば
自分が死後、しんごくんの今後を考えましたか？
両親がいない、お婆さんは認知症で、
頼れる親戚もいない。
未成年のしんごくんがどうなっていくのか、
くらい簡単に想像がつくはずです。
あなたが作った借金や全ての荷物を
たったひとりの息子さんに
背負わせるおつもりなのですか？
あなたには親として奥様の分まで
しんごくんの成長を見届ける義務があるはずです。
下田さんが本当に
苦労されてきたことはわかります。
でも、今大切にすべきもの、存在を
見誤らないでください。
しんごくんは大人びた子ですが、
まだ子どもなんですよ。
優しくていい子に育ってますが、どうか
あの子の本当の心を聞いてあげてください』
下田「…
…先生、しんごを呼んでくれますか」
『はい！少々お待ちくださいね』
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こちいこ(プロフ) - ゆかりさん» ゆかり様 コメントありがとうございます。なかなか物語が進められず…オリジナル感もなくって感じですけど、引き続き楽しんでもらえたら嬉しいです。 (2021年8月24日 16時) (
レス) id: a9b3fdfb3a (このIDを非表示/違反報告)
ゆかり(プロフ) - すごく面白いです！更新頑張ってください！ (2021年8月24日 15時) (レス) id: 546ce68c7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちいこ | 作成日時：2021年8月16日 8時
