結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

彼の読めない心 ページ46

荒木「うわー、マジかー。
展開早いっすよー！！
…で？あの王子様はどこに？」



「今日は1人で来たの。これから帰るわ」




荒木「じゃあ、送って行くっす！」




「良いけど、変なことしないでよね」




荒木「わかってるっすよ。
婚約者から奪うとか
俺の立場じゃ無理っすから…」




車に乗り込み、ぼーっとしていると、


荒木「やっぱ！！言わせて下さい！！」

急に大声を出され、びっくりする。



「な、何、そんな大きな声で…。
ちゃんと聴こえてるわよ」



荒木「この後少し時間ありますか？」



「え、真っ直ぐ家に帰りたいんだけど」



荒木「１時間で良いです。
今のAさんの顔描きたい…」



「もう絵は描き上がったんじゃないの？」



荒木「今の顔、凄いスッキリした顔なんすよ。
だから、残しておきたいんス。
お願いします」



「…終わったらちゃんと送り届けてよ」


あー、ほんとこの子には甘いな、私。









アトリエに入ると、
メインで描いていたはずの大きな絵が無くて。


「あれ？コンクール用の絵は？」



荒木「Aさんとなかなか会えなかったから
描き上がったんですよ。
コンクールに出して、審査待ちです」



「あ、そう。描き上がったのね。
それなら見せてくれたら良かったのに！
結果はいつ出るの？」



荒木「2ヶ月後くらい」



「長いんだね」



荒木「大きいコンクールだと作品数が多いから
審査に時間がかかるんすよ」




「…で？私は何をすれば良いの？」




荒木「そこに座ってください。
顔の向きは…正面で」



カメラに数枚を収めたあと、
彼はスケッチブックにサラサラと描き始めた。


荒木「こんなもんかな、」

小さく呟くと、



荒木「すいません。
あそこの窓の桟に手をついて
外を眺めててくれますか？」



指示通りに動くものの、
一心不乱にスケッチブックに書き殴る様子に
どこか鬼気迫るものを感じた私は、
問いかけた。



「ねえ、なんかあったの？」




荒木「なんでっすか？」




「いや、なんか、いつもと雰囲気違うから」




荒木「…コンクールの結果が気になるだけっすよ」

ぽつりと零した言葉は
本心ではないような気がした。

でも、きっと探られたくないことなのだろう。





「結果ってどんな風に出るの？」




荒木「まずは書類で入落の結果が出て、
入選者の絵は日本アトリエ館に
１ヶ月展示されるんすよ」




「そこって日本屈指の美術館じゃない！
入選、すると良いわね」

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