結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

善は急げ ページ44

数週間後のこと。


私は祐一さんと共に小さな教会にいた。


「おめでとうございます！
黒木さん！宇佐美編集長！」





そうなのだ。
今日は以前に招待を受けていた2人の結婚式。


まさか呼ばれないと思ったが、
黒木さんが迷惑かけたからこそ、
私たち2人に出席して欲しいと言ってきたのだ。


…すごい度胸じゃない？


でも、私たちにも
幸せのバージンロードを歩く為の
きっかけが欲しかったのかもしれない。



プロポーズの返事を
なかなか言い出せずにいたから。




…だから、結果的に良かったのだ。






ブーケトスを取ってしまった私には。






周りから歓声が上がる中、
私は祐一さんの手を引き、背伸びをすると、
「これが私のお返事です」と耳元で囁いた。

こっそりと
エンゲージリングをはめた左手を見せて。





驚きに目を開く祐一さんだったけど、
喜びが爆発したとでも言うのだろう。



みんなの前なのに私を抱き上げた。



全てが終わった後、
祐一さんは私の手を引いて
ガランとした教会に連れてきた。

祐一「僕はあまり神を信じていなかったけど、
Aを幸せにするとここで誓うよ」




「そんな誓い立てないで！」



祐一「え、？」



「…2人で幸せになろう？
2人で柏木corporationを守って、さ？
だから、…」




祐一さんの目から一粒の涙が零れた。


祐一「…ありがとう、A。
こんな僕だけど、一緒についてきてください」




私は彼の手を握って、大きく頷いた。


「…まずは、両親達を説得しなきゃだね。
継承者問題が片付かないと、
婚約の公約達成できないでしょ？」




祐一「そうだね。…いつ、打ち明ける？」



「早い方が良いよね？
私たち、来年から渡米する手筈になってるんだし」



祐一「うん。
出来れば、今週中にはアポとりたいな」



「善は急げだよ。
来月のインド旅行はどうする？」



祐一「…行きたいけど、それどころじゃないよね」



「じゃあ、絶対説得して、
婚姻旅行として認めてもらおう？
認めてもらったとしても、
婚約発表とか後継者発表とか
色々忙しくなりそうだもの。
それこそ、すぐにLAに発てって言われそうだし」




祐一「そうと決まれば、すぐにアポをとろう！
…出来れば両家一緒の日が良いね」



「…なら、両家顔合わせにしちゃおうよ！
私、両親に祐一さんが継ぐ意志があること伝えておく！
そしたら、柏木社長とも大きな喧嘩にならずに
話まとまるかもしれないよ？」

家族招集→←勢いのプロポーズ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す