結婚相手募集され中2《サバイバルウェディング》

クリエイター一家 ページ36

荒木「返額すれば穏便に、とか言うんすけど
画商って信用命っすからね。
そういうのってやっぱ情報早いから、
評判が下がると絵が売れなくなるんすよ」



「そっか。それであなたもアルバイトを。
でも、何故あなたがこんなステキなアトリエを
持っているのかはよく分かった」




荒木「このアトリエは
俺と母ちゃんでデザインして
爺ちゃんが建ててくれたんす」


またお爺ちゃんか！


「荒木くんのお爺さんは
何をされてる方なの？」



荒木「葉山建設堂の理事っす。
聞いたことあります？」



「ええっ！！
葉山建設堂って言ったら有名じゃない！
知らないはずないでしょう」




荒木「ま、知ってるっすよね。
母ちゃんが爺ちゃんの反対押し切って
画家だった父ちゃんと結婚したから
さっきも言った通り、俺ん家は普通の家」




「普通の家とは言わないんじゃない？
荒木くんの家系はみんな、
クリエイターだもの」




荒木「クリエイターか」



「さ、そろそろ続きする？」



荒木「なんか、Aさん、
やらしいんすよねー」



「意味わからないし、あんまり言うと怒るよ」



荒木「さーせん！じゃ、始めますか！」


すると、また顔つきが変わった荒木くん。
まだ学生だけど、プロなんだと思った。






40分ほど重ね塗りをすると、
今日の分は終わりらしい。

油絵って乾かないと
次に色をのせられないもんね。



アトリエから一歩出ると、
真っ暗で空気も冷えていた。

ふと、空を見上げたら
星が一面に広がっていて。


「綺麗…」

私は、ポツリと呟いた。



荒木「うん…あー、ちょっと！
ちょっと、待っててください！！」


慌ててアトリエに入っていった荒木くん。


ま、いっかと見送って
私は星空を眺めていた。




バタバタと出てきた荒木くんは
私の肩にブランケットをかけ、
パシャパシャと写真を撮りだした。


何か、アイディアが浮かんだのだろう。




まだ撮るの、と振り返っても
カメラを構えて私を撮っているものだから、
私はまた星空に目を移した。



そして、
スケッチブックに描き始めた荒木くん。



え、この寒い中、描くの！？

と思ったが、5分程度で終え、
私を車まで案内した。



時計を見れば、もう7時だ。

荒木「今日はありがとうございました。
やっぱAさん、最高なモデルです」

珍しくちゃんとした敬語だ。



「モデルの善し悪しなんてわからないけど、
褒められると悪い気はしないわね」

私は憎まれ口を叩いたけど。

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