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赤い顔 ページ27

平然と好きな子、とか言うんだから…
恥ずかしくて穴に入りたいくらいで。


「…あんまりそういうの、
言わないで…ください」

私は彼に背を向けて呟いた。



祐一「…あー、そういうところが堪らなく
可愛いって思うんだよね」



「だから!ダメなんだって…!」



祐一「ごめん、ちょっといじめすぎたかな」

そう言ってにこにこしている祐一さん。








「祐一のばか…」


私はスープの鍋に向かって
小さな小さな声で呟いた。



すると突然、
ガタン!!という物音がした後、
「いて〜」と言いながら
祐一さんが床にうずくまりだした。




「え!祐一さん、何事ですか!」

私は急いで駆け寄ったが、あれ?



祐一さんはしゃがんだ私を引き寄せると
急に私の首筋に顔を埋めてきた。


突如、!!!「いたっ!」

今度は私が声をあげる番に。



私は咄嗟に首筋に手をやり、
なるべく冷静に声を発した。

「祐一さん、今…何、しました…?」



祐一「仕返し」



は?


「仕返し?どういう意味ですか?」



祐一さんは私の頰に手を滑らせながら
こう言い放った。


祐一「さっきのA、タチが悪い」



「…あ、もしかして
馬鹿って言ったの、聴こえてました?」



祐一「バッチリ」



「…ごめんなさい」



祐一「誤解してると思うけど、
怒ってるんじゃないからね」



「え、?」



祐一「あんな真っ赤な顔で
ぽそっと名前を呼び捨てされたら
一生懸命保ってる理性なんて
一瞬で崩れちゃうんだよ…」


確かに、祐一さんも
ほんのり顔が紅くなっているよう…


珍しいと思い私がそっと
頰に手を伸ばそうとしたら
あ、耳が紅くなった。


「祐一さん、耳まで赤い…」



祐一「っ!!!」


バッと耳を押さえて
恥ずかしそうにする祐一さんが可愛くて
つい、くすくすと笑ってしまった。




すると、
どうやら切り替えの早い祐一さんが
じっと私の顔を見ていて。



…元々目力の強い祐一さんの目から
魔法でも出ているかのように動けなくなる。



硬直する自分におどおどしていると、
更に祐一さんの顔が近づいた。

祐一さんの目には
しっかりと私の姿が映っていて。



本能的に身の危険を感じた。


静かな空間の中、ふと
ぐつぐつ…という沸騰音が耳に入って
私は慌ててキッチンに戻った。


鍋よ、ありがとう。



祐一さんはというと、
ちょっと神妙な顔つきで
考え事をしていたようだけど、


祐一「ちょっと頭冷やす。すぐ戻るよ」

そう言って出て行った。

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こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつも応援ありがとうございます!描こうと思ってたストーリーを変えて、思いつきで描いたらちょっと失敗気味ですが、波乱の幕開けとしたいので、もうちょっとハラハラして下さい(笑) (2018年12月16日 21時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます!2人がくっついて嬉しいんですけどお父さん体調不良でどうなるんだろう・・・?とハラハラみてます。さらに年下くんともどうなるんだろう?続き、楽しみにしてます! (2018年12月16日 19時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつもコメントありがとうございます!実は前からこんな展開を描いていて、でもなかなかその内容を出すタイミングが掴めずに非公開にしていたんです。今回、無理矢理公開したので一気に更新となりましたが。新キャラ登場で、話に動きが出るといいなと思っています。 (2018年12月9日 1時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 大量更新ありがとうございます!ライバル出現にビックリです!でも振り回される主人公、可愛いですね。優しいだけじゃなくていろんな顔の祐一が見られそうな展開で楽しみです! (2018年12月8日 20時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» 早速読んでいただけたんですね。ありがとうございます。完全に迷走しています。もうちょっといちゃいちゃさせたいです。頑張ります(笑) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:こちいこ | 作成日時:2018年11月17日 8時

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