掴めない ページ3
多分私の頭に触れたのは…、
柏木さんの唇だった。
柏木「…帰りましょうか」
柏木さんはそっと私から離れると、
自分の車へ促した。
あ、帰るんだ、
別に残念とか寂しいとか
そういう感情じゃない。
さっきまでの雰囲気がサッと消えたから
私はホッとしたと同時に、
やっぱり彼のことがよくわからないと思った。
車に乗り込み、
エンジンをかける柏木さん。
それから、意識してそうしてるのか、
私の方を見ないで運転をしている。
しかも、何かを考えているのか
何も言わない。
私の自宅まで数十分になった頃、
私はこの沈黙を打破するべく
ようやく言葉を発することが出来た。
「…柏木さん、お腹、空きませんか？」
とても小さな声だった。
柏木「…え？な、何か言いました？」
ようやくこちらを向いた柏木さん。
「お腹空きませんかって言ったのですが」
柏木「あ！あぁ！お腹！そうですね！」
「良かったら、今日お付き合い頂いたお礼に
ご馳走しますよ」
柏木「え、Aさんの…手料理？」
「あ、言葉が足らなかったですね。
近くに美味しくて、
よくサービスしてくれるお寿司屋さんがあって」
柏木「…あ、そういうこと…」
そんなあからさまに
がっかりしたような声出さなくても…。
「手料理はまた今度として、いかがですか？」
柏木「じゃあ、せっかくなので。
…たしかに、
このままAさんの家に上がったら
身がもたなそうなので、
ある意味、良かったかもしれません」
小さい声だったけど、充分聴き取れた
それの意味を考えないようにすることは
意外と難しかった。
今が暗い車内で良かった、
ほんと、この人、何言い出すかわかんないわ
無事にお店に着いて
大将におススメコースをお願いする。
柏木「本格的なお店ですね。
いつも通い詰めているんですか？」
「いえ、私はちょっとの贅沢の時に
お邪魔させて頂くくらいですよ。
家族がこの大将のファンで
昔から来たことはありますが」
…
お会計、私が奢るって言ったのに
結局ここは僕が、って。
その代わり、
今度手料理を食べさせて下さい、なんて言うし。
別れ際、
柏木「来週の優璃さんの誕生日パーティー、
世間に認めてもらえるよう頑張ります。
当日、16時にお迎えにあがりますね。
では、おやすみなさい」
そうして、長い初デートは終わった。
…なんか、ドッと疲れたわ。
柏木さん、別人みたいだったから。
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こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつも応援ありがとうございます！描こうと思ってたストーリーを変えて、思いつきで描いたらちょっと失敗気味ですが、波乱の幕開けとしたいので、もうちょっとハラハラして下さい(笑) (2018年12月16日 21時) (
レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 更新ありがとうございます！2人がくっついて嬉しいんですけどお父さん体調不良でどうなるんだろう･･･？とハラハラみてます。さらに年下くんともどうなるんだろう？続き、楽しみにしてます！ (2018年12月16日 19時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» いつもコメントありがとうございます！実は前からこんな展開を描いていて、でもなかなかその内容を出すタイミングが掴めずに非公開にしていたんです。今回、無理矢理公開したので一気に更新となりましたが。新キャラ登場で、話に動きが出るといいなと思っています。 (2018年12月9日 1時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
さかなちゃん(プロフ) - 大量更新ありがとうございます！ライバル出現にビックリです！でも振り回される主人公、可愛いですね。優しいだけじゃなくていろんな顔の祐一が見られそうな展開で楽しみです！ (2018年12月8日 20時) (レス) id: 6abe047d30 (このIDを非表示/違反報告)
こちいこ(プロフ) - さかなちゃんさん» 早速読んでいただけたんですね。ありがとうございます。完全に迷走しています。もうちょっといちゃいちゃさせたいです。頑張ります(笑) (2018年12月6日 18時) (レス) id: 0b60cb1e95 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：こちいこ | 作成日時：2018年11月17日 8時
