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第9話~回想~ ページ9

「あのねさかたん」

「なにー?まふ」

人の少ない電車に乗って帰宅する途中、僕らは指を絡ませ寄り添っていた
さかたんのお日様の匂いがあったかい

「婚姻届書いて、結婚式あげようか」

「え?でも同性婚は……」

「婚姻届は……誰かに預かってもらおう……」

考えていなくて語尾が小さくなっていく
すると絡ませた手がぎゅっと握られる

「嬉しい。ほんまの結婚みたいや」

「うん。そうだよ」

楽しみやな、と首を揺らす君。
とても幸福なんだけど、いつまで隣にいるのかな。なんてマイナスなこと考えちゃった。
不吉だよ……僕。

帰宅ラッシュの電車に乗り換える。
ぎゅうぎゅう詰めはいつ乗ってもしんどいな

少し揺られたところで君がカクンと力が抜けたように座ってしまう
というところでギリギリ支える

「あ……また、また、ちから………」

「大丈夫、大丈夫」

ぎゅっと僕の服を掴んでいるのがわかった。
僕が、僕が辛いなんて言ってられない。
辛いのはさかたんなんだ。

「大丈夫、大丈夫」

ずっとずっと声をかけていると目的の駅に着いた。流されるからさかたん大丈夫かな。

「どう?足」

「……多分」

支えるちからを少し弱めるとストンと重力に逆らえない君がいて

お尻に手を回してそのまま持ち上げる。
親が小さい子を持ち上げるような抱き方

「ちょっとだけ我慢ね」

僕の首に顔を埋めている君が鼻をすすって、くすぐったかった

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設定タグ:死ネタ , シリアス , 歌い手   
作品ジャンル:泣ける話
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春斗(プロフ) - 最後は…どういうことですか…鳥肌が…凄いんですが…泣きそうでした (2019年6月18日 7時) (レス) id: 9b052c38b6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テオ。 | 作成日時:2018年4月14日 18時

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