君の半年を僕に【BL】 (ページ17)

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第17話～そして7年後～ページ17

「……パパぁ？どこかへ行くの？」

「ごめんね」

寝静まった寝室をリビングから眺めていると5歳になったばかりの子が目を覚ました。その子の母親はすやすやと眠っている。
寝室に入らないままその子と話をする。

「パパ悪いことしてないのに謝るの？」

「パパのこと好き？」

その子の話を無視して自分の言いたいことを問うとニッコニコに笑って頷いてくれた。嬉しいのに、今からすることを思うと胸がキュッとした。
自分好みに伸ばさせた髪に服。愛おしくてたまらないはずなのに、僕は選ぶことができなかった。本当にごめんなさい。

「明日も幼稚園でしょ。早く寝なきゃ」

「……パパどこいくの」

「おやすみなさい」

あれほど入りたくなかった寝室にスルリと入り、その子の頭を撫でる。布団を頭までかぶせる。
不安そうな声をしていたその子は楽しそうに笑った

「おやすみなさい、パパ」

押し殺したような声を背に寝室の扉を閉めた。
大きな荷物を持っているはずなのに不思議と足取りが軽い。
玄関の鍵を閉めてポストに鍵を入れる。

君が僕から離れた後、君と住んでいた家はずっとそのままだった。そう、高い家賃の家を7年間住まず家賃だけを払い続けていたのだ。

少し遠い僕たちの家に向かいながら僕はこの7年間のことを思い返していた。